おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒュ.ーマン・ギルド の岩井俊憲です。
久しぶりの本の紹介です。
『プロティアン』(田中研之輔、日経BP、1,650円)
【プロティアン】という言葉の語源はギリシア神話に出てくる、思いのままに姿を変える神プロテウスのことで、【プロティアン・キャリア】はボストン大学経営大学院で組織行動学や心理学の教鞭を執るダグラス・ホール教授が1976年に提唱した概念。
著者の田中研之輔さんは「はじめに」で次のような問いを発しています。
「30年後、どこで、何をしていますか?」
「毎日、どのように過ごしていますか?」
「あなたは、今に仕事を失ったらどうしますか?」
「あなたの強みは何ですか?」
このような問いに対しては、70歳まで働き、100年を生きる今こそ、自律的なキャリアを求めようとする一人ひとりが回答をしなければなりません。
この本を読みながら私は、前提がアドラー心理学にとても近い雰囲気を感じました。
第1に「人は一人ひとりユニーク」である点
第2は「社会を抜きにしての個人は考えられない」という点
今まで読んできたキャリアに関する本は、組織の一員としてのキャリア論の趣が強かったのに対比すると、この本は「インディビデュアル(「直面する仕事・交友・愛のタスクと分割不能な全体的な存在としての個人」)のためのキャリア論です。
そのところは、著者の3つの視点で明確です。
(1)キャリアは組織に預けるものではなく、自分で育て、形成する
(2)キャリアは昇進などの結果ではなく、生涯を通じた全過程である
(3)キャリアは変化に応じて、自分で変えることができる
こうした考えをもとに
■第二章 「キャリア資本」の構築 --組織を活かし、変幻自在に生きる
■第三章 「ビジネス資本」の蓄積 --仕事に没頭し、自己を磨き続ける
■第四章 「社会関係資本」の形成 --本当の豊かさを育てる
の中で縦横無断に論じ、
■第五章 「経済資本」に転換する --稼ぎ方を戦略的にデザインする
として、さらには独創的にダグラス・ホール教授の説からの飛躍が展開されます。
まさに【プロティアン】です。
さらに
■補論 プロティアン・キャリアのもう一つの道 --"複業"で働き方をアップ
では、複業研究家の西村創一郎氏との対談で、度肝を抜かれることが語られます。
キャリア論としてだけでなく、100歳までアクティブ・シニアを志す人のための必読書としてお勧めします。
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