見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

博物館に初もうで2010+VR洛中洛外図屏風(東京国立博物館)

2010-01-16 00:17:07 | 行ったもの(美術館・見仏)
TNM&TOPPANミュージアムシアター『洛中洛外図屏風 舟木本』(2010年1月2日~3月28日)

 3連休の週末に博物館に初もうで。お目当てのひとつが、この新作VR(バーチャルリアリティ)上映だった。このVR上映って、どのくらい知られているんだろう? 私はけっこう好きなのである。題材はいろいろ見たけど、やはり、建築物や空間を表現したものが面白いと思う。さて、受付を済ませて、会場入口に並んでいると、今までにないガイダンスを受けた。6つのテーマが用意されているので、入口のタッチパネルでお好きなもの2つを選んでください。最も人気の高かった2つのテーマを上演します、という。

 用意されていたのは「京の風物詩」「京の信仰」「京の名所今昔」「京の豊臣家」「京の異国人」「京の商い」。投票の結果、この回は「京の名所今昔」と「京の異国人」の上演となった。案内役のお姉さんの話では「"京の異国人"は初上演です」とのこと。シアターのホームページに、テーマ(シナリオ)のリクエスト結果が掲載されているが、圧倒的なのが「京の名所今昔」。「京の風物詩」がこれに継ぐ。「京の異国人」は平均2%しかない(1/8~1/11)というから、よく上演に当たったものだ(変わりものの観客の多い回だったのか?)。実は、私もこれをリクエストしたのである。「京の商い」は、ほとんどゼロ。私が見に行った時も、お姉さんが「"京の商い"は、まだ上演の機会がありません。けっこう面白いんですけどね」と残念そうに言っていた。確かに、描かれた店先を覗くのって、とても面白いと思うのに。

 結果としては、「京の異国人」は期待したほどではなかった。船木本には南蛮人しか描かれていないのかあ。私は、朝鮮通信使も出てくるかな?と思ったのに。次回は別のテーマ(シナリオ)を見てみたいけど、自分の好みだけで選べないのは、このリクエストシステム、一長一短のように思う。本館2階の階段ロビーに設置したモニタでも、「船木本」の画像が公開されていて、これは勝手に操作して楽しむことが可能。人物を拡大すると、あー岩佐又兵衛(ふう)の顔だなあ、というのがよく分かる。着物の文様、持ち物や食べ物など、実に細かく描き込まれていることも。なお、リアル船木本の展示は、1/13から始まっているはずである。

■本館特別2室 特新春特別展示『寅之巻』(2010年1月2日~1月31日)

 恒例の「博物館に初もうで」シリーズは『寅之巻』。ポスター、チラシになっていたのが、応挙の『虎図』だったので、ええ~虎といえば、岸駒でしょう、と思っていたら、ちゃんと岸駒の『虎に波図屏風』が並んでいて、嬉しかった。

 現物ではないが、『博物獣譜』から、関根雲停が描いた虎のスケッチ画が写真パネルで飾られていた。文久元年(1861)10月、麹町福寿院の境内で見世物になっていた虎を描いたもので、これが「日本に初めて上陸した生きた虎」の記録であるらしい。調べたら、横浜港から上陸した由。文久元年といえば、勝海舟は…龍馬は…と、誰が虎を見た可能性があるか、気になる。

 なお、この特別展示のほかにも、館内のところどころに「トラ」の姿あり。11室(彫刻)入口の『毘沙門天立像』(旧中川寺十輪院持仏堂所在)も、やはり寅歳に合わせたのだろうな。
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