■西国第十二番 岩間山正法寺(岩間寺)(滋賀県大津市)
岩間寺へは、昨年の10月17日に続く再訪である。というのも、「結縁御開帳」の初日、私は東京の友人と二人でこのお寺を訪ねたのだが、近江六札所で発売されている「土鈴・浄土の鳥」を入手することができなかったのだ(→詳細はこちら)。
「また来て」とは言われたものの、山深い岩間寺は、臨時バスの運行される毎月17日(観音ご縁日)でなければ参拝することが難しい。まして東京からでは、そう簡単に出かけられるものではない。という泣き言を京都の友人にメールしてみたら、「12月に仕事を休んで、買いに行ってきましょう」と慈悲深い返信。さすが、すでに三十三所巡礼を果たした先達(せんだつ)様。ところが、友人が、念のため、12月初旬に岩間寺に電話してみると「いま品切れです」とのこと。このまま、鳥は永久に手に入らないのではないか…と思っていたら、12月26日(土)の朝、携帯メールに京都の友人から「岩間寺より、浄土の鳥が入荷したとの電話あり」という連絡が入った。なんというクリスマスプレゼント?! これはもう、私も1月に行くしかない!ということで、今回の旅行が決まったのである。
前日は遅くまで飲んでしまったので、9:20石山駅で待ち合わせ。立ち客もいる満員のバスで、友人と岩間寺に向かう。地上も寒かったが、山上はさらに寒い。お清めの手水場には、ガチガチに厚い氷が張っていた。本堂の前に、顔も体躯も丸々したお坊さん(慈恩大師に似ていたw→画像)が立ちはだかり、参拝客ひとりひとりに、丁寧なお加持を施している。さらに「どこか悪いところはございませんか」と聞いてくださるので「腰がちょっと」とか答えると、その部分に五鈷杵を突き当てて、裂帛の気合いを入れて(?)下さる。
今はご開帳期間ではないため、ご本尊の厨子はぴたりと鎖され、扉の前に大きなお前立ち像が据えられている。向かって左には吉祥天、右には婆藪仙人。婆藪仙人は、秋の大津市歴史博物館の『湖都大津 社寺の名宝』からお戻りになったようだ。さて、お守り授受所を覗くと、浄土の鳥(白鳥)発見。友人の分と二羽いただきながら、「うれしい~」と思わず感慨を漏らすと、売り場のおばちゃんが「おねえちゃん(→私)、前にも来はったやろ。覚えてるわ」とおっしゃる。え?!と慌てながら、そういえば、10月もこのおばちゃんだった、とこちらも記憶がよみがえる。実は、あのとき、売り切れと言ったあとで、在庫があったことに気づいて、私と友人を追いかけて、探してくれたのだという。しかし、私たちは、あんまりガッカリしたので、早々に下山してしまったのだ。まあこれも、御縁というもの。観音さんに気に入られて、もう一回おいで、と招かれたものと思いたい。
この日は、霜柱を踏みながら、奥宮神社まで歩いてみる。途中、崖下に自生するカツラの古木は、分岐したひこばえが育って、ヤマタノオロチのような迫力。
■西国第十三番 石光山石山寺(滋賀県大津市)
石山駅に戻るバスを途中下車して、石山寺に寄る。「結縁御開帳」は終わっているが、有名寺院なので、そこそこ参拝客の姿が見られる。「多宝塔っていいねー」「岩山、風情あるよね」「水湧いてるよ」などと会話を交わしながら、本堂の縁の下を覗いたり、古い願掛け絵馬を発見したり、気ままに境内を楽しむ。ご開帳期間の参拝は、どうしてもご本尊と納経所に突進することになってしまうが、本来の巡礼は、こういうのんびりした気持ちで行うものだろう。「先達」の友人は、すでに三巡目の巡礼に入っているのが羨ましい。
■西国第十四番 長等山園城寺(三井寺)(滋賀県大津市)
京阪電車で三井寺に移動。車中、ちょっと体が温まって、ほっと一息つく。三井寺では、南隅の観音堂から拝観を始め(前回はここだけで帰った)、多数の堂宇、塔頭を覗いてみる。朽ちかけた一切経蔵をおそるおそる覗き、閼伽井屋でゴボゴボいう湧き水の音を聴き、生きた孔雀の檻を眺め、微妙寺で「湖国十一面観音第一番」のご朱印をいただき、 金堂で「弥勒仏」のご朱印を、最後に水観寺で「西国薬師第四十八番」のご朱印をいただいた。金堂のご本尊・弥勒仏は絶対秘仏でご開帳されたことがないという(→三井寺の公式サイト)。「ふーん、フェノロサ(境内に墓地がある)でも見られなかったのか」などと話す。
境内には、慶長年間建立の堂宇が多い。豊臣秀吉は三井寺の堂塔を破壊し、寺領を没収したが、秀吉の死後、北政所により金堂再建が始まり、慶長年間、徳川家康によって、急ピッチで諸堂の再建が図られた(新造ではなく、あちこちから移築している)。というようなことも、『三井寺展』のときに学んだはずなんだけれど、現地を歩いて、あらためて頭に入った。
※「土鈴・浄土の鳥」コレクション完成記念(獲得時の記事にリンク)

↑左端より時計まわりに、迦陵頻伽(長命寺)、鸚鵡(園城寺=三井寺)、孔雀(石山寺)、共命之鳥(観音正寺)、舎利(宝厳寺=竹生島)、白鳥(岩間寺)。
岩間寺へは、昨年の10月17日に続く再訪である。というのも、「結縁御開帳」の初日、私は東京の友人と二人でこのお寺を訪ねたのだが、近江六札所で発売されている「土鈴・浄土の鳥」を入手することができなかったのだ(→詳細はこちら)。
「また来て」とは言われたものの、山深い岩間寺は、臨時バスの運行される毎月17日(観音ご縁日)でなければ参拝することが難しい。まして東京からでは、そう簡単に出かけられるものではない。という泣き言を京都の友人にメールしてみたら、「12月に仕事を休んで、買いに行ってきましょう」と慈悲深い返信。さすが、すでに三十三所巡礼を果たした先達(せんだつ)様。ところが、友人が、念のため、12月初旬に岩間寺に電話してみると「いま品切れです」とのこと。このまま、鳥は永久に手に入らないのではないか…と思っていたら、12月26日(土)の朝、携帯メールに京都の友人から「岩間寺より、浄土の鳥が入荷したとの電話あり」という連絡が入った。なんというクリスマスプレゼント?! これはもう、私も1月に行くしかない!ということで、今回の旅行が決まったのである。
前日は遅くまで飲んでしまったので、9:20石山駅で待ち合わせ。立ち客もいる満員のバスで、友人と岩間寺に向かう。地上も寒かったが、山上はさらに寒い。お清めの手水場には、ガチガチに厚い氷が張っていた。本堂の前に、顔も体躯も丸々したお坊さん(慈恩大師に似ていたw→画像)が立ちはだかり、参拝客ひとりひとりに、丁寧なお加持を施している。さらに「どこか悪いところはございませんか」と聞いてくださるので「腰がちょっと」とか答えると、その部分に五鈷杵を突き当てて、裂帛の気合いを入れて(?)下さる。
今はご開帳期間ではないため、ご本尊の厨子はぴたりと鎖され、扉の前に大きなお前立ち像が据えられている。向かって左には吉祥天、右には婆藪仙人。婆藪仙人は、秋の大津市歴史博物館の『湖都大津 社寺の名宝』からお戻りになったようだ。さて、お守り授受所を覗くと、浄土の鳥(白鳥)発見。友人の分と二羽いただきながら、「うれしい~」と思わず感慨を漏らすと、売り場のおばちゃんが「おねえちゃん(→私)、前にも来はったやろ。覚えてるわ」とおっしゃる。え?!と慌てながら、そういえば、10月もこのおばちゃんだった、とこちらも記憶がよみがえる。実は、あのとき、売り切れと言ったあとで、在庫があったことに気づいて、私と友人を追いかけて、探してくれたのだという。しかし、私たちは、あんまりガッカリしたので、早々に下山してしまったのだ。まあこれも、御縁というもの。観音さんに気に入られて、もう一回おいで、と招かれたものと思いたい。
この日は、霜柱を踏みながら、奥宮神社まで歩いてみる。途中、崖下に自生するカツラの古木は、分岐したひこばえが育って、ヤマタノオロチのような迫力。
■西国第十三番 石光山石山寺(滋賀県大津市)
石山駅に戻るバスを途中下車して、石山寺に寄る。「結縁御開帳」は終わっているが、有名寺院なので、そこそこ参拝客の姿が見られる。「多宝塔っていいねー」「岩山、風情あるよね」「水湧いてるよ」などと会話を交わしながら、本堂の縁の下を覗いたり、古い願掛け絵馬を発見したり、気ままに境内を楽しむ。ご開帳期間の参拝は、どうしてもご本尊と納経所に突進することになってしまうが、本来の巡礼は、こういうのんびりした気持ちで行うものだろう。「先達」の友人は、すでに三巡目の巡礼に入っているのが羨ましい。
■西国第十四番 長等山園城寺(三井寺)(滋賀県大津市)
京阪電車で三井寺に移動。車中、ちょっと体が温まって、ほっと一息つく。三井寺では、南隅の観音堂から拝観を始め(前回はここだけで帰った)、多数の堂宇、塔頭を覗いてみる。朽ちかけた一切経蔵をおそるおそる覗き、閼伽井屋でゴボゴボいう湧き水の音を聴き、生きた孔雀の檻を眺め、微妙寺で「湖国十一面観音第一番」のご朱印をいただき、 金堂で「弥勒仏」のご朱印を、最後に水観寺で「西国薬師第四十八番」のご朱印をいただいた。金堂のご本尊・弥勒仏は絶対秘仏でご開帳されたことがないという(→三井寺の公式サイト)。「ふーん、フェノロサ(境内に墓地がある)でも見られなかったのか」などと話す。
境内には、慶長年間建立の堂宇が多い。豊臣秀吉は三井寺の堂塔を破壊し、寺領を没収したが、秀吉の死後、北政所により金堂再建が始まり、慶長年間、徳川家康によって、急ピッチで諸堂の再建が図られた(新造ではなく、あちこちから移築している)。というようなことも、『三井寺展』のときに学んだはずなんだけれど、現地を歩いて、あらためて頭に入った。
※「土鈴・浄土の鳥」コレクション完成記念(獲得時の記事にリンク)

↑左端より時計まわりに、迦陵頻伽(長命寺)、鸚鵡(園城寺=三井寺)、孔雀(石山寺)、共命之鳥(観音正寺)、舎利(宝厳寺=竹生島)、白鳥(岩間寺)。