見もの・読みもの日記

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2014年3月@東京:探幽3兄弟(板橋区立美術館)

2014-03-31 23:54:50 | 行ったもの(美術館・見仏)
板橋区立美術館『探幽3兄弟~狩野探幽・尚信・安信~』(2014年2月22日~3月30日)

 江戸狩野の祖、狩野探幽(1602-74)と、その弟の尚信(1607-50)、安信(1613-85)を取り上げる。昨年12月に見た出光美術館『江戸の狩野派-優美への革新』と重なる主題である。会場に入ると、三人それぞれの位牌(池上本門寺より出陳)が目に入ってびっくりした。手を合わせてお参りした上で、作品を見始める。

 探幽の作品で好きなのは『富士山図屏風』。心が洗われるような晴れやかさ。実は、富士山の描かれていない右隻のほうが一層好き。南禅寺の『群虎図襖』は、金地を背景に竹林と二匹のトラが描かれているが、つやつやした尻尾の毛並に加え、筋肉のつきかたもリアル。

 ええと、出光の展覧会では、尚信と安信、どっちの評価が高かったんだっけな?と記憶を探っても思い出せなかったが(答えは尚信)、私の好みは尚信である。素人の印象を言うと、どこか「変」で気になる作品が多い。全体に洒脱な線なのに、小さな顔の表情だけ、妙に神経を使っている『蘇東坡図』いいなあ。驢馬の表情や姿勢も好きだ。『寒山拾得図』も同様。あとで図録で見た『朝陽図』(前期展示)の衣を繕う僧侶も同様。このへんの人物画の小品は、図録解説によれば、初公開の個人コレクションが多い。そして、見れば見るほど、私も欲しくなる。『雲龍・竹下虎図屏風』の、下顎を突き出し、鼻を膨らませたトラも可愛かった。かなり好きだ! 松代の真田宝物館所蔵というのも意外でびっくり。

 安信は、洒脱に見えても根が真面目なのだと思う。多くの古典を学んだ形跡も残っている。また、三兄弟の合作あるいは三幅対がいろいろ残っているのも面白いと思った。なお図録は、会場展示作品(前後期)よりもかなり多くの作品を掲載している。4月19日から群馬県立美術館に巡回。
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