見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

初訪問・新装オープン北海道博物館、ほか

2015-08-20 22:35:59 | 行ったもの(美術館・見仏)
 今年の夏休みは、稚内からフェリーでサハリンに行ってきた(※2015/8/9~8/14の記事参照)。その帰り、札幌に1泊して、いくつかの博物館・美術館をハシゴした。

北海道博物館

 まず1箇所目は、厚別町の野幌森林公園に今年4月18日に開館した北海道博物館。もともとこの場所にあった北海道開拓記念館と北大植物園前にあった道立アイヌ民族文化研究センターという二つの施設を統合して開設されたものだそうだ。私は3月末まで札幌暮らしをしていたが、野幌森林公園に行くのは初めてで、新札幌駅からもう少し頻繁にバスが出ているかと思ったら、日中は1時間に1本しかなくて呆れてしまった。バスで訪ねるときは、時刻表のチェックが必須である。

 博物館の外観は重厚というか、少し古ぼけていて、新しくなった感じがしない。しかし内部は最近の博物館らしく、体験型の工夫が随所に凝らされていて、楽しかった。最初の展示室には、見上げるようなマンモス(写真)とナウマンゾウの骨格標本の模型。マンモスは、サハリンを経由して、大陸から渡ってきたと知って、妙に親近感が湧く。泳いできたのか?と思ったが、かつては陸続きだった時代があるのだ。



 北海道の名づけ親、松浦武四郎の著書『近世蝦夷人物誌』は、だいたい展示される箇所が決まっているのだが、全編(?)めくって読むことのできる複製が用意されている。挿絵が飄逸で楽しい。写真は(楽しい場面ではないが)勇敢なアイヌが熊と格闘する図。



 アイヌについては、歴史・民俗・文化など、多角的な展示がおこなわれている。「アイヌの現在を知る」をテーマに、小学生の男子が、アイヌの血を引く祖父母に話を聞くコーナーは、大人にも分かりやすく興味深かった。



 展示・収集の対象は、マンモスの化石から近現代の生活用具まで幅広い。



 北海道の自然と生態系に関する展示では、都市生活の中の生き物も扱う。写真は確かに早朝の札幌市内で見かける光景。ゴミ袋が、ちゃんと札幌市指定の黄色いゴミ袋なのがツボ。



 北の海の生態系を学ぶエリアにあるシャチ型ソファ。子どもが数人で乗っても大丈夫。クマ型ソファもある。



 企画テーマ展『鶴』(2015年6月27日~8月16日)の展示室には、両腕を通すとツルの翼になるコスプレ衣装も用意されていて、子どもが嬉しそうに身につけて遊んでいた。

樺太関係資料館(北海道庁旧本庁舎)

 サハリン旅行の帰り道だったので、復習(おさらい)のため、赤レンガ庁舎の2階にある樺太関係資料館に寄った。ここは以前にもじっくり見た記憶があるが、現地に行ってから見るとまた印象が違う。数日前に訪ねた旧国境地帯のルポがビデオで流れていたりする。

 終戦直前に始まった日露間の戦闘については、あらためて詳しく学んだ。戦後「樺太にとどまらざるを得なかった人々」のコーナーには、女性たちのことが書かれていたが、朝鮮籍の人々についての言及はなかった。今後、説明が加わることはあるだろうか。

北海道立近代美術館 『近美コレクション 日本画逍遙』(2015年6月27日~8月23日)

 特別展『夢見るフランス絵画』のほうにお客さんが入っていたが、私はこちらを鑑賞。けっこう好きなタイプの作品があって嬉しかった。横山大観、下村観山の「陶淵明」競作は、どちらも岡倉天心の面影を感じさせる。吉川霊華の『太上老君』は樹下に老人、その前に白い牛が休んでいる。老子と思われる老人が、きちんとした衣冠を身につけているのが面白い。松岡映丘の『正月(白馬節会)』は、白馬を引く武官。朝焼け(?)の山の色が清新で、正月の床の間に掛けたい。片岡球子(北海道出身)『葛飾北斎』は着ている着物が抜群に美しい。
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