〇東京長浜観音堂 『千手千足観音立像(長浜市高月町西野・正妙寺蔵)』(2022年1月12日~2022年2月27日)
日本橋の長浜観音堂に4回目の訪問。現在の展示は、正妙寺の千手千足観音である。私がこの像を初めて見たのは、2010年に高月・観音の里ふるさとまつりを訪ねたとき。想像もしなかった異形に衝撃を受けた。
東京では、2016年、芸大美術館の『観音の里の祈りとくらし展II』で紹介され、2019年、びわ湖長浜KANNON HOUSEでも展示されている。その結果、ぜひまた見たいというファンの声に応えて、今回の再登場となったことが、パネルに説明されていた。
「こういうの…他にあるんですか?」と学芸員の方にお尋ねしてみたら、「いや、ないです」とのこと。ただし鎌倉時代の天台系の儀軌(図像集)『阿沙縛抄』『白宝抄』には「千足観音」の記載があるそうだ。現在の観音像は江戸時代の作だが、もっと古い千足観音像を復興したのではないかという。「でも観音像なのに憤怒像なんですよねえ」と学芸員さんも不思議そうだった。多くの頭(十一面)は過去、多くの手は現在、多くの足は未来の諸仏を表わすという説も紹介してくれたが、初耳である。
ガラスにかぶりつきで眺めたのだが、けっこう精巧で美しい。宝冠も瓔珞も華やか。憤怒像だというが、笑顔にも見える。
背面はちょっと笑える。
現在、東京長浜観音堂では、土日祝日の来館者に湖北の仏像ポストカードをプレゼント中で、今日は円満寺(高月町井口)の十一面観音坐像のカードだった。なかなか美麗な観音様。浅草文化観光センターで開催中のパネル展も教えてもらったので、こちらも行ってみようと思う。
期間限定の東京長浜観音堂は今月で終了なので、今後のことをお尋ねしたら「いま水面下で…」とだけおっしゃっていた。何かのかたちで観音の里の文化発信が続きますように!