〇東京長浜観音堂 『十一面観音坐像(脇仏)(長浜市高月町宇根・冷水寺蔵)』(2023年2月1日~2月28日)
今年度最後のお出ましは、冷水寺の十一面観音菩薩坐像。ご本尊の脇に安置されており、もとは出開帳仏であったと伝わる。冷水寺は初めて聞く名前だが、調べたら、高月駅からそう遠くないのどかな緑地に、小さなお堂があるようだ。祀られているのは、黒い肌、赤い唇が印象的で、やや厳しめのお顔をした十一面観音坐像(江戸・元禄年間)。このご本尊は「鞘仏」で、その胎内には、天正11年(1583)の賤ヶ岳の戦いの際に焼損したと伝わる、ぼろぼろの旧本尊(平安時代)が収められていた。現在は、観音堂の横の「胎内仏資料館」という、小さな手作り資料館に安置されているそうだ。
この脇仏も江戸時代の作ということだが、頬がふっくらしてよいお顔立ちである。出開帳仏ということは、旧本尊を守り伝えるための勧進をおこなったのだろうか。そして地域の人々が観音さまを大事にしてきた伝統は、今も受け継がれているようだ。
※長浜くらしノート:秘仏を守り伝える“世界一小さな博物館”の館長さん(2016/11/11)
冷水寺、訪ねてみたい。資料館の館長さんにもお会いしてみたい。