見もの・読みもの日記

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京都初春散歩/さるづくし+刀剣を楽しむ(京都国立博物館)、他

2016-01-12 21:35:02 | 行ったもの(美術館・見仏)
京都国立博物館 新春特集陳列『さるづくし-干支を愛でる-』(2015年12月15日~2016年1月24日)

 京都国立博物館では初めての干支づくし特集。東京国立博物館の「博物館に初もうで」は13年目を迎え、「申」から始まった企画が二周目に入ったというから、ちょうど一周(12年)遅れの参入である。しかし、さすが京博ならではの名品がたくさんあって、面白かった。3階の陶磁および考古はふつうの常設展。陶磁は、仁清、乾山など京都らしい焼きものが出ていて目の保養だった。法金剛院に伝わる「色絵蓮華香炉」(伝・野々村仁清作)は、大きな蓮の花に蓮の葉を蓋にしている。尾形乾山の「色絵氷裂文角皿」が常設展で見られるのだから、京都がうらやましい。

 2階の5つの展示室は全て「さるづくし」。杉本哲郎が制作したアジャンタ壁画模写のサルとか、伝・貫休筆『十六羅漢』(高台寺)の中のサルとか、展示作品を選ぶの楽しいだろうなあと思う。来迎院に伝わる『日本霊異記』の写本(平安後期、国宝)も展示されていた。修行僧のもとに現れた白猿が「我は東天竺国大王(の生まれ変わり)」と名乗る。西遊記みたいというか、むしろ『西遊妖猿伝』みたいだと思った。『高祖大師秘密縁起』(安楽寿院本)のサルは、弘法大師に薯蕷(山芋?木の実に見える)を献上するのを日課にしていた。可愛いなあ、と思ったら、次の場面で頭から穴に落ちて(?)後ろ足を逆さに立てて死んでいたので、噴き出してしまった。哀れな話だが絵が可笑しい。

 小さな「牧谿猿(もっけいざる)」が群れ集う、式部輝忠筆『巌樹遊猿図屏風』に加えて、雪村、白隠、若冲、蕭白、森狙仙など個性派絵師の描いたサルが勢ぞろい。蘆雪の『群猿・唐子図屏風』はいいなあ。三匹のサルの乗っている岩山、黒い岩肌にへばりついた植物の赤・青・緑が映える。子供を失った母猿の姿だという『猿猴図』もいい。蘆雪の描く小動物や鳥はみんないい表情をしている。中国絵画は少なかったが、斉白石筆『偸桃図』が面白かった。

 1階は、書跡(仮名)、染織、漆器と特集陳列『獅子と狛犬』(2015年12月15日~2016年3月13日)。一部屋まるごと狛犬だらけで、密度が濃すぎて可笑しかった。サルの特集にあわせて、わざとイヌを並べたみたいにも思えて。

■特集陳列『刀剣を楽しむ-名物刀を中心に-』(2015年12月15日~2016年2月21日)

 さて、お客さんがものすごいことになっていると噂に聞いていた特集展示。1階いちばん奥(彫刻ギャラリーの隣)の特別展示室を会場にしているのだが、 入室待ちの列が反対側の四室を縦断して折り返す状態になっていた。一時は270分待ちとか。それほどの熱情はないので、とりあえず展示室の前まで行ってみた。室内は壁に沿ってコの字型にケースが並んでおり、その最前列(縄で仕切られている)で見るには、おとなしく列に並ぶしかない。しかし、部屋の中央に単立の展示ケースが二つあって、源氏の重宝『髭切・鬼切』(北野天満宮)と『膝丸・薄緑』(大覚寺)だけは、列に並ばなくても間近に見ることができた。刀剣のことはよく分からないが、後代の剣に比べると細くて長いように思った。振りまわして斬るより、刺すのに適している感じ。刃文は目立たず、シンプルだった。

 彫刻ギャラリーは、金剛寺の不動明王坐像の隣りに京都・安祥寺大日如来坐像(平安時代)が来ていたことを記録しておこう。高く結い上げた宋風の髷、四角張った顔で、鼻はあまり高くない。ちょっと首が短すぎるが、胸が厚く堂々としている。山科の安祥寺、行ったことあったかなあと記憶を探ったが、はっきりしなかった。

■京都大学百周年時計台記念館歴史展示室 企画展『京都帝国大学文学部の軌跡-教養と国策のはざまで-』(2015年11月10日~2016年1月17日)

 京都大学文書館の展示。ちょっといいタイトルだったので、足をのばして覗きに行ったが、展示資料は少なく、あまり面白いものも出ていなかった。吉田神社に初詣をして、初おみくじで「大吉」を引いたのでいいことにする。

京都文化博物館 企画展『日本のふるさと 大丹後展』(2015年12月5日~2016年1月17日)

 なるほど、丹後には多くの古代遺跡があって、銅鐸や銅鏡、埴輪や勾玉が発掘されていることを初めて認識した。羽衣伝説や浦島伝説も伝わっているし、日本海を通じて中国大陸や朝鮮半島との交流もあっただろう。ただ、やっぱり歴史時代以降は(隣りの若狭に比べて)影がうすい感じがする。地場産業の丹後ちりめんの歴史は面白かった。

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