見もの・読みもの日記

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2025年1月関西旅行:名品ギャラリー3~2階(京都国立博物館)

2025-01-14 23:11:31 | 行ったもの(美術館・見仏)

京都国立博物館 名品ギャラリー(3~2階)

 初春三連休の関西旅行はまず京博から。私は常設展モードの京博が大好きなので、今月は各室をじっくり紹介する。

・『京焼における仁清-御室仁清窯跡出土陶片の胎土分析からみる製陶技術-』(2025年1月2日~3月16日)

 凝ったかたち、華やかな色彩のやきものが並ぶ、お正月らしい展示室。蓮の花に蓮の葉を被せたような『色絵蓮華香炉』は、「蓮の寺」法金剛院の所蔵だと知って納得してしまった。仁清といえば色絵だと思っていたが、実はシンプルな轆轤成形の美しさも見どころ。また、仁清窯址からは、さまざまな「写し」のた陶片が出土している。ホンモノの志野と仁清の志野写し、ホンモノの信楽と仁清の信楽写しを見比べて、その技術の確かさに感銘を受けた。

・『日本の須恵器と韓国の陶質土器』(2025年1月2日~3月16日)

 日本の古墳時代を代表するやきもの「須恵器」と、朝鮮半島古代の新羅で製作された陶質土器を展示し、その親縁関係を示す。「提瓶」と呼ばれる形の須恵器は初めて見た。扁平な丸型の水筒なのだ。また、革袋をつぶしたような「革袋形提瓶」もあった。日本の古代については、まだまだ知らないことが多い。

・『神々の伝説-八幡・厳島-』(2025年1月2日~ 2月9日)

 豪華な『八幡宮縁起』2巻のうち1巻と、野趣あふれる『厳島縁起絵巻』2巻を展示。面白かったのは後者。天竺の足引宮は善哉王の寵愛を受け、身籠っていたが、嫉妬深い后妃たちの企みで、山中で斬首される。しかし王子は動物たちに助けられて成長し、母の頭蓋骨を探し当てて、母を蘇生させる。善哉王と足引宮と王子は、足引宮の故郷に身を寄せるが、善哉王は足引宮の妹に気を移してしまう(ええ~)。足引宮と王子は、流浪の果てに安芸国に至り、祀られる。この摩訶不思議な物語が、迷いのない素朴な線と、赤と緑とわずかな黄色で表現されている。こういう絶対に教科書に載らない物語のおもしろさが、もっと知れ渡ったらいいのに、と思う。

・『十二天屏風の世界』(2025年1月2日~2月9日)

 滋賀・聖衆来迎寺の『十二天屏風』(12幀のうち6幀)、京都・雲龍院の『十二天屏風』、京都・高山寺の『十二天屏風』(6曲1隻)を展示。特に聖衆来迎寺の十二天は、衣の文様の描き込みが精緻で華やか。くるりと輪になった蛇を持つ水天像と、人頭幢(人頭のついた短い杖)を持つ焔摩天像が特に美麗。

・『松竹梅の美術』(2025年1月2日~2月9日)

・『日本の女性画家』(2025年1月2日~2月9日)

 近世~幕末明治の女性画家の作品を展示。徳山玉瀾は池大雅の妻。「池玉瀾」と呼ばれることも多いが、本人は徳山姓を名乗ったという。作品は、素人目には大雅かな?と思うくらいよく似ている。玉蘭、清原雪信あたりは知っていたが、江馬細香、張紅蘭、橋本青江など、よく知らなかった名前もあり、人となりや生涯の簡潔な紹介も興味深かった。

・『塩都・揚州の繁栄と芸術-袁江・王雲筆「楼閣山水図屛風」』(2025年1月2日~2月9日)

 『楼閣山水図屛風』8曲1双は、袁江と王雲の二作品を一対にしたもの。もともと巨大な作品(大判の涅槃図くらい)に高さ50センチくらいの展示台が付いているので、さらに背が高くなっている。


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