見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

2021年7月@関西:朝鮮の仏さま(高麗美術館)他

2021-08-01 19:49:50 | 行ったもの(美術館・見仏)

 連休四日目。今日は予定している美術館が全て朝10時開館なので、朝イチで東寺に寄って御朱印をいただき、『京の国宝』展で取り上げられていた焼損四天王像を見ていく。そして、夜叉神堂を覗いていくのが定番コースなのだが、雄夜叉神のお堂は空っぽで「諸事情によりしばらくの間御遷座しています」の貼り紙が出ていた。私のブログでは2020年3月に参拝したときからこの状態。駐車場脇のお堀では蓮の花が盛り。

高麗美術館 『朝鮮の仏さま』(2021年4月1日~8月17日)

 朝鮮半島の仏像、仏画など約40件を展示。チラシ・ポスターになっている木造漆箔菩薩立像(朝鮮時代後期)は頭頂に二股の髷?髪飾り?をつけていて、中国語でいう丫頭(少女)を思い出す、かわいらしい仏様だった。そのほか仏像は、石造と銅あるいは鉄造が多い印象。解説に、朝鮮の仏像は時代とともに白毫が退化し、肉髻と肉髻珠(髻の根元の朱色の珠)が大きくなるとあって、なるほどと思った。朝鮮仏を見分けるヒントになるかもしれない。個人的には、石仏など、頭が大きくて撫で肩の印象を持っている。

 色鮮やかな仏画を見ると、韓国旅行でまわったお寺を思い出す。『如来説法図』(光緒14/1888年)は弟子たちがみんなニコニコしてくつろいだ雰囲気が好ましかった。『十牛図』(朝鮮時代、19世紀)は素朴な民画ふうでこれも好き。『直符使者図』(朝鮮時代、17世紀)は、緑と赤の衣を着て馬を従えた(馬上だったかも)人物を描く。直符使者は冥界からの使者で、中国や日本の仏教にはない、朝鮮半島独特のものだという。解説には、日直使者と月直使者がいるとも書いてあった。『判官図』(朝鮮時代、19世紀)は、素朴な絵(冥界の判官か)にハングルと漢字で文章が添えてあるのだが、内容が判読できず、気になった。知りたいことがいろいろ増えた展覧会だった。

相国寺承天閣美術館 『若冲と近世絵画展』(I期:2021年4月29日~7月25日/II期:8月1日~10月24日)

 18世紀の京都で腕をふるった絵師たちの中から、相国寺と深いかかわりのある絵師たちの作品を展示。もちろんその中心は若冲である。久しぶりに若冲の『釈迦三尊像』3幅を見ることができ、『釈迦三尊像』展示期間中だけの限定御朱印もいただいてきた。鹿苑寺大書院障壁画は、常設の『葡萄小禽図』『月夜芭蕉図』だけでなく、全部(?)見ることができる。私の好きな『竹図』、その裏側の『秋海棠図』も。堂々とした『玉熨斗図』は何度か見たことがあるが、現在でも毎年正月には鹿苑寺の方丈に掛けるという情報が、ちょっと嬉しかった。

 また、若冲の支援者として有名になりつつある梅荘顕常(大典禅師)の書簡集(刊本)なども展示されており、お中元に若冲から素麺(表記は「線麺」)を貰ったこと、素麺が若冲の好物であることなどが記されていた。

京都文化博物館 特別展・京都文化プロジェクト 誓願寺門前図屏風 修理完了記念『花ひらく町衆文化-近世京都のすがた』(2021年6月5日~7月25日)

 2015~2020年度に解体修理をおこなった岩佐又兵衛筆『誓願寺門前図屏風』の完成を記念し、この屏風が描かれた江戸時代の京都に焦点をあて、近世都市京都がいかに表象され、また都市に息づく人々はどのように文化を紡いできたのか、絵画、考古、古文書など豊富な資料で展観する。

 この屏風は、ネットで確認したところでは、2016年夏の福井県立美術館『岩佐又兵衛展』にも出陳されていない。あまり私の記憶にない作品だった。会場では、岩佐又兵衛の研究者である筒井忠仁氏(京都大学)の解説がビデオで流れており、興味深かった。又兵衛が福井に移住する直前、青春を過ごした京都への決別の思いを込めた作品、という想像に惹かれた。

龍谷ミュージアム 特集展示『釈迦信仰と法華経の美術-岡山・宗教美術の名宝II-』(2021年7月10日~8月22日)

 同館は、岡山県立博物館の改修工事にあわせて、所蔵品と寄託品の一部を預かることとなり、昨年暮れから今年の初め、企画展『ほとけと神々大集合-岡山・宗教美術の名宝-』を開催した。本展は、そこで紹介できなかった岡山の名宝を、釈迦信仰と法華経というふたつのテーマを通して紹介する。鎌倉時代の『普賢菩薩像』『文殊菩薩像』(岡山県井原市・智勝院所蔵、山奥だなあ)など、美麗な仏画を数多く見ることができた。

 気になったのは、所蔵者の明示されていなかった『羅漢降臨図』(中国・元時代)。白雲の上に、パステルカラーの美々しい衣・袈裟を身に着けた若い羅漢(髭がない)が座り、その背後には、それぞれ老僧五人、道士(?)五人を乗せた小さな雲が浮かんでいる。羅漢の足元には三人の供養者。異国風の顔立ちの侍者が花瓶を捧げている。解説には「水陸会と共通する」という指摘がされていた。

 以上で、予定をコンプリート。往路よりだいぶ混んだ(しかし例年の連休ほどではない)新幹線で東京へ戻った。次に関西に来られるのは秋かなあ。


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