先月末から今月初め、少し緊張を強いられる仕事が続いたので、それが一段落したところで、遠出をしてのんびりしたくなった。結局、三連休の最初の1泊2日だけ札幌に飛ぶことにした。
■北海道博物館 第5回特別展『アイヌ語地名と北海道』(2019年7月6日~9月23日)
ちょうどこの展覧会が始まっていたので、新千歳空港から直行で見に行った。江戸時代の古地図や古文献に記載されたアイヌ語の地名、それが嫌われ、日本語らしい漢字表記に変更されていく様子、その一方、アイヌ語地名を読み解こうとした山田秀三(1899-1992)の調査ノートなど、興味深い展示だった。しかし文字の小さい資料が多くて老眼にはつらかった。デジタルアーカイブで手元で丹念に見たい。
入口に「ヒグマ出没注意!」の貼り紙があったのにはびっくりした。
この子(↓)は常設展「生き物たちの北海道」の部屋にいる、ソファがわりのヒグマ。開館以来、ぼろぼろになっていたけど、背中を張り替えてもらったのかな。よかった。もう1頭、シャチのソファは姿が無かった。
常設展「北海道らしさの秘密」の部屋で見つけた、効率的な種まき器。「ブラタモリ」の富良野?の回で見た記憶がある。
■北海道立近代美術館 常設展・近美コレクション『風雅の人 蠣崎波響展』(2019年3月30日~7月28日)+特別展・テレビ北海道開局30周年記念『東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展』(2019年6月8日〜7月28日)
蠣崎波響(かきざき はきょう)展をやっているというのに惹かれてきたら、東山魁夷展もやっていた。東京人の私が、わざわざ北海道に来て唐招提寺御影堂の障壁画を見るというのもヘンな話だが、これもご縁だと思って参観した。今年3月、なぜかふと思い立って10年ぶりに唐招提寺を訪ねて鑑真和上の御廟にお参りした。そのあと5月に中国・江南旅行に行って、鑑真和上が住職をしていた揚州の古刹・大明寺を訪ねた。今回、札幌でもご縁があったので、もう1回くらい何かありそうな予感がして楽しみである。
御影堂の障壁画はむかし見たことがあったが、制作の過程で、日本・中国各地で描いたスケッチや習作がたくさん出品されていて興味深かった。鑑真和上像の厨子のまわりを囲む「揚州薫風」は色のない墨画なのだけど、きっと和上の閉じたまぶたの裏には、色のある故郷の風景が映っているのだろう。
蠣崎波響展は展示替えもあって、見られたのは15、6点。個人蔵が多かった。『夷酋列像』の印象が強いが、花鳥図、唐美人図など、ああ円山四条派だなあと思った。そして、鳥の生き生きして人間くさい表情が、応挙より、芦雪の画風に近いと思った。
まだ明るかったので、円山方面にぶらぶら歩いて、古民家カフェの森彦(もりひこ)でひとやすみ。札幌から引っ越す間際か引っ越した後に存在を知って、一度来てみたいと思っていたカフェなので嬉しかった。
カフェの隣りの空き地には、四角く囲われた大きな石碑(道祖神?)があり、北に向かって旧界川(さかいがわ)跡という曲がりくねった遊歩道が続いていて不思議な空間である。マルヤマクラスまでは何度も買いものに来ていたのに、ちっとも知らなかった。