7月11日(土)の早朝2時45分に沢渡大橋駐車場に入った。 土曜で車が多いかと思っていたが充分空きが有ってホッとした。 直ぐに仮眠に入り、4時半起床。 外は長袖のシャツでも着ていれば、十分耐えられる気温であった。 沢渡から上高地へ向かうバスやタクシーは頻繁にあるのだが、逆方向(松本方面)へ行くバスは定期バスが8時29分で、この1番に乗車して仮に9時20分頃に島々宿に着いて、直ぐに出発してもマップタイムの7時間30分で歩けるか?一寸不安であった。
そんな事を考えていたら、駐車場の中に走り込むタクシーを発見。 連絡すれば来てくれるんだと思い、運転手さんに電話番号を聞きに行ったら予約車でなく、お客さんを待っていると言うので「逆だけど、島々宿の徳本峠(とくごうとうげ)登山口まで行って欲しい。」と声を掛けたらOKで4時50分に出発できた。 一番心配していた出発時間がクリアできたので、気分が凄く楽になった。 島々宿から林道を入り、車止めのゲートが有る所まで入ってくれ助かった。
ゲートを5時25分にスタートできた。 島々谷川沿いの林道はまだ薄暗く、チョット薄気味悪い。 このルートは通称「徳本越え」と呼ばれており、昭和初期に釜トンネルが開通する前まで盛んに利用された道とのことです。 砂防ダム通過、6時10分。
また、日本アルプスを世界に紹介した「ウォルター・ウェストン」も歩いた歴史のある峠道で、今回ウェストンと同じ道をたどってみようと考えたのである。
東電の取水場がある二俣までの6kmは、途中で先を歩いていた方と山の話をしながら楽に歩いた。 二俣通過6時55分。
二俣からは左に折れ、西方向に島々谷南沢に沿って、しっかり作られたいくつかの橋を渡り、右岸左岸と交互に景色を変えながら徐々に高度を上げて行く。
昭和21年から28年ころまで使用されていたと言う「炭焼きがま」通過7時26分。 山村の収入源として1回に40Kgを生産していたようです。
二俣と岩魚留小屋との中間に、休憩に丁度良いベンチがありました。通過8時。
ほんのいくつか崩壊個所があったが、苦労すること無く進め、「離れ岩」通過8時20分。
南沢はきつい登りは無く、気持ち良く歩けた。ワサビ沢橋通過8時53分。
以前来た時の雰囲気で、もうそろそろ岩魚留小屋かな と感じた。
岩魚留橋を渡ったら左岸に屋根が見え「岩魚留小屋」に到着9時。 現地の小屋は「岩魚止小屋」と標示されていました。地図もガイドブックも、みな「留」表示です。
草が鬱蒼と酷くて見えにくく、小屋前まで行ったら、何と大分前から営業はして無いようでした。 小屋は古く一寸薄気味悪く感じた。25分の大休止。
小屋を出てからは、やはり沢に沿ってジグザグの道から後半の長い直登の道には参りました。 途中で徳本峠まで1.9Kmの標示板を見て、やっと射程圏内に入ったことを確信した。 標示板通過10時45分。
ちから水到着、11時5分。 流れ出る清水を3杯ご馳走になった。冷たくて美味い
ちから水から先の徳本峠までは、九十九折りの厳しい登りが続いた。 真後ろから強い日差しが照りつけ、アゴや額から汗が滴り落ちた。 それでも休まず高度を稼ぎ、12時丁度に「徳本峠小屋」に到着した。
時間的にも、この時間に小屋にいる人は少ないので静かなもので、必死に歩を進めていると急に小屋前の広場に飛び出す「ヤッター」と安堵感が増す瞬間である。
峠に立つと明神・穂高の山塊が目に飛び込んできた。 好天であり今迄で最高の山岳風景である。
30分くらい小屋の前で休憩後、受付を済ませた。 寝床に案内されザックの整理をしながら、誰もいない小屋内をキョロキョロ。 今回で3回目の宿泊、とても懐かしい。 特に小屋を支えるような斜めの柱が徳本峠小屋のシンボルの様である。
夕食の18時まで充分時間があり、「さて」と思い外に出る。 早朝から歩きだし直線距離で約15Km、標高差約1,400mを踏破、足がジンジンしていたので無理は止め、カメラと水を持ち2時間で往復できる、大滝山寄りの「明神見晴らし」まで散歩に出た、13時半。 空身でも足取りは重い。
アップダウンを繰り返しながら樹林帯の中を進み、急に左手の北西方向が開けた。 目の前には見事な明神の雄姿である、到着14時20分。 足元に「明神見晴らし」と書かれた標示板が落ちていた。 素晴らしく何回もシャッターを押した。 良く見ると明神山塊稜線の裏に、ヒョッコリ顔を出す「槍ヶ岳」も見えた。
大満足で小屋に戻る、15時15分。 12時の到着時は2張であったテントが10張とテン場が一杯であった。
夕食まで少し横になり、18時夕食。 土曜日であったが混雑も無く1度に全員が夕食。美味しく完食す。 19時からは日本ベルギー学会会員で、山岳地帯でのコンサート等、フィールドを歩く演奏家として注目を集めている『品川 聖』(しながわ ひじり)様のソロコンサートが開演され、ランプの灯る中で聴くヴィオラの音色は素晴らしく心の中に染み渡る感じがしました。
久し振りに中身の濃い一日を過ごせたと満足に感じ、眠りにつきました。
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