伊豆の踊子
道がつづら折になって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨脚が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追って来た。・・・・・
川端康成の文章は黙読よりも、ラジオから 流れてくる静かな朗読で味わうのが一番心に染み入る。
1926年(大正15年)発表の短編小説。 伊豆の自然を背景に、旧制高校生と旅芸人の幼い踊り子との淡い交情を描いた出世作。
一高生の「私」は伊豆の旅で旅芸人の一行と道連れになった。
14歳の踊子の素直な好意に、孤児である私の いじけた気持ちも伸び伸びと解きほぐされるが、しかしやがて悲しい別れがくる。
大人と子供の境目の少女 の可憐な姿態がくっきりと定着され、青春のときめきと悲哀とがみずみずしく表現されている。
1918年(大正 7年)一高時代の川端は伊豆の旅をしたが、これはその時の体験に基づいた作品とのことです。
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