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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね

2011-07-07 19:07:07 | 岡崎京子
岡崎京子 2004年 平凡社
はい、また岡崎京子。
でも、これはマンガではありません。
「PR誌ちくま」(筑摩書房)に1995年から1996年にかけて掲載された、えーと、なんだ、散文集。
マンガに用いられたエピソードも少しあるけど、基本的にはマンガの原作とかそんなんぢゃない感じ。
ヲカザキが、小説を書くことをめざしてたのかどうかは、わからないけど。
「靴を盗む」なんてのは、いいね。バスの中で靴を片方落としてしまって、そのまま片足は裸足のままで、叔母さんの病室に見舞いに行く。スリッパを借りるということも思いつかずに、帰りはなんとしてでも靴を盗まねば、って話。

『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』
『終わらない』
『一分間(あやちゃんに)』
『ある夜の……』
『蛇』
『がちゃがちゃ狂い』
『靴を盗む』
『「……とまあ、そんなとこ。(You Know)」』
『「あたしって……」』
『青空』
『「ノート(ある日の)」』
『森の中/二人の兄弟/孤独な王様/王妃たち/赤ずきんちゃん/ある夫婦/その他』
『赤ずきんちゃん』
『森の中』
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岡崎京子UNTITLEDアンタイトルド

2011-06-21 20:40:56 | 岡崎京子
岡崎京子 1998年 角川書店・あすかコミックスDX
ヲカザキの短編集。
単行本タイトルの由来は、巻末の編集付記にあるとおり。
1996年5月に岡崎京子は交通事故に遭い、以降休筆っていうか療養中。この単行本は、本人の直し(加筆修正)がないまま、出版に踏み切られたので、「未定稿」であるという意が含まれている。
収録作は、
「万事快調」Room:No.1~3
寺内家の3人姉妹弟の話。
母はいなくなり、父は死に、祖父はボケとハイカイぐせが出てきて足にひもを結ばれてる状態。
第1話は28歳の姉ゆきこさん。OLだけど帰ったら家の中のこと全部やらなくちゃならなくて、結婚しないのかできないのか、って岡崎作品にたまにある展開。
第2話は22歳の妹みちこさん。酔った勢いでハメはずしたりした結果、ストーカーみたいのにつきまとわれる。
第3話は末っ子で学生のたかしくん。いい加減な地図を頼りに、ある葉っぱの自生してるとこ探しにいくなんてのは、大友克洋作品にあったなぁ。この作中で「分かったぁぁ~!!」と叫ぶのはわりと有名な謎めいてるシーン。
「恋愛依存症」KARTE.1~3
第1話は、結婚目前でもめる鈴木洋子と山田一郎と、直接行動として関わんないんだけど恋愛のおまじないをかける小川さゆみ。
第2話は、手首切って幽体離脱みたいになったようこ。
第3話は、むっつ上の姉がしあさって結婚するんだけど、女の子に「一緒に死なない?」なんていってるヨシオ。
「ロシアの山」
安藤ヤスヒサと八橋久美子のボーイミーツガール。彼と彼女は同じ団地の12階と14階に住んでいる。「勿論、この話は ロシアの山とは何の関係もない。」というコマがあるんだけど、どういうわけでこのタイトルなのかはわからない。「北京の秋」みたいなものか?
「お散歩」
門限の厳しい隣のりょうこ姉さんにつれられて外出した9歳のときを回想するみちこの話。

↑写真の左側は初版限定ポストカード
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ヘルタースケルター

2011-05-27 19:54:34 | 岡崎京子
岡崎京子 2003年 祥伝社
例によって、ヲカザキのマンガです。これは長編。
出版は2003年ですけど、雑誌連載は1995年から1996年。
そう、これをかいたあと、岡崎京子は事故にあったってことになります。
んで、これは傑作です。
唐突にミもフタもない言い方しかできないけど、そうなんだから仕方ない。
私は「pink」がいちばん好きだし、「リバーズ・エッジ」もすごいと思うけど、これはかなりとてつもないです。
岡崎作品にかぎらないでも、そうとう物凄いって評価するマンガのひとつに挙げられます。
主人公はスーパー売れっ子モデルの「りりこ」。
彼女の美は人工的なもの。事務所の社長いわく「このこはねえ もとのままのもんは 骨と目ん玉と爪と髪と 耳とアソコぐらいな もんでね あとは全部 つくりもんなのさ」。
で、整形の後遺症とか、薬物の副作用とかで、身も心もボロボロになって、ときどきメンテナンス(って、ほんとロボットの修理みたいなこと?)をしなきゃいけなくなります。それを扱うのが謎の秘密高級クリニック。
「りりこ」をテレビでみて「このこ 面白い顔 してるね」と興味をもつのが麻田検事。「骨格と上にのってる 表皮と筋肉の動きが 一致してない 興味深い顔だ」と見抜きます。
検事は、何年も前から闇で進行しているらしい、胎児死体臓器売買事件を追っていて、やがて「りりこ」と会うことになる。
うーん、いろんな事象のうらには、人の持つ欲望みたいなものがうねってる、ってことを感じさせられるんだなー、これが。
「pink」で見せられた「愛と資本主義」ってのは、まだ可愛げがあったんだけど、ここに来ると、なんか鬼気迫る迫力があります。
読み返すのは、そのたびツライ体験になるけど、やはり傑作だと思います。
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チワワちゃん

2011-05-17 20:13:08 | 岡崎京子
岡崎京子 1996年7月1日 角川書店・ヤングロゼコミックスDX
ヲカザキの短編集。
収録作は以下。カッコ内は各作品のトビラめくった裏にある副題のようなもの、作者が書いたもんかどうか私は知らない。
「LOVE,PEACE&MIRACLE -紙の上のスライドショウ-」(星に願いをかけたい時に)
これは6ページの、1ページ1枚の絵が描かれたものですね。意味はよくわかりません。
「夏の思い出」(すべてのことが起こることを信じる人に)
「危険な二人」に出てくるセーコちゃんとヨーコちゃんの199X年夏の話。ハワイから帰ってきたら、電気もガスも電話も止められて、現金8420円しか持ち合わせてない状態になっちゃった二人が、食い逃げして、トラックの荷台に乗ってったら、知らない海辺にたどりついてって話。バカバカしくて罪がなくていいっすね。
「チョコレートマーブルちゃん」(学校が大嫌いだった人達と 学校が大嫌いな子供達に)
これは何の話かってのは説明すんのむずかしい、とある男のアパートで出くわした鈴木裕子と田中優子のどこへも行かない話。
ただ、この作品の冒頭でどっちかのユーコちゃんが叫ぶ「あたしの夢はああ~!! いつかイルカの背中にのることどぇーす!!」に続く、「それから 大金持ちになって フリッパーズ・ギターを 無理やり再結成させること どぇーす!」「そして100畳の大広間で あたしだけのために 演奏してもらい まーす!!」というフレーズは大好きです。
「GIRL OF THE YEAR」(なにかを好きになりたい人々に)
女子高の2年に編入したボルネオ帰りの帰国子女である山田律子さんが、校内で勝手にヒロインにされちゃって、本人はなんか違和感をもっている。タイトルの“ガール・オブ・ジ・イヤー”は校内の一種のミスコンで、優勝者は芸能界入りが約束されてるようなもんだけど、主人公はまったくやる気がないのに担ぎ出されちゃう。
「チワワちゃん」(友だちと別れたことのある人に)
主人公はいきなり死んぢゃってます。バラバラ殺人事件の被害者“千脇良子 20歳 看護学校生”って新聞に名前が乗ってたのが「チワワちゃん」。生前の彼女を知る仲間たちが、彼女のことを語るってストーリー展開。私たちは彼女について何かわかってたんだろうか何もわかってなかったんだろうか、って疑問が、わりと淡々と回想されてくなかから浮かんでくるとこが、なかなかいいッス。
「空を見上げる-あとがきにかえて-」
って“あとがき”です。
ヲカザキのあとがきって、対談っぽくツーっと自作とか近況を語ってる感じが多かったのに、1996年3月31日付のこのあとがきは妙にマジメ。
この短編集を編んでみて、読みなおしたり描きたしたりしながら、あらためておもったことには、人はいろんなことがコワいんだな、ということです。(人によってその種類や質はちがいますが)。そしてわたしは、自分がいろんなことがコワくなくなるように、これらのマンガを描いたような気がします。
というところが、いま読めば、非常に意味シン。ヲカザキはこれらの作品で何が言いたかったんだろう。
「好き?好き?大好き?」(キスが甘いだけじゃないことを知ってしまった人達に)
んー、これよくわかんないんだよね、『好き好き大嫌い』のなかの「エピローグのようなもの」のほうが私は好きだなー。
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ヘテロセクシャル

2011-04-15 20:12:51 | 岡崎京子
岡崎京子 1995年 角川書店
ヲカザキの短編集。
あとがきに、オカキョン自身が「過渡期、ですね。あの頃のわたくしに後ろからケリを入れてやりたいぐらい中途はんぱな感じ。」って語ってるくらい、微妙なセンのようですが。
収録作は、
『うまくいってる?』
彼氏にプロポーズされたとたんという、最悪のタイミングで両親は離婚するし、もともと妹たちとは意見というか性格が違うんで、悩みが共有できなくて、テンパってしまった26歳のハルエさんの話。
『それいゆ』
5年前に父が交通事故にあい商社を退職、母が4年前に家出、高一の妹と小五の弟の面倒をみながらOLやってる、キッチンドランカー気味の22歳の小早川千香子さんの話。
『恋人はあなただけ』
スーパーアイドル・モデル吉沢ニコと、日本で最低部数をほこる新聞社の文化部の記者飯田洋一郎が、好き好き同士になる話。
『コレクター』
高校時代の女ともだち章子を、海外で出会った恋人にとられちゃったと感じて、その男トシミを拉致監禁しちゃうという三浦カナさんの話。
んで、マンガの合間に、小説ともエッセイともつかない書下ろしの短文、「あなた」「わたしたち」「彼女」「わたしたち2」が入っているってのも、この単行本の特徴。
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