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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ためらう女

2016-08-04 20:53:58 | 読んだ本
E・S・ガードナー/三樹青生訳 1956年 ハヤカワ・ポケット・ミステリ版
移動のときなんかに読み返してると肩凝らなくてヒマがつぶれていい、ペリイ・メイスンシリーズ。
原題は「THE CASE OF THE HESITANT HOSTESS」
ためらってるのは、ただの女ぢゃなくてホステス、ポール・ドレイクの言葉によれば“お客応対係りの女”。
冒頭から法廷シーンが始まってる変わった展開。
たまたまの縁で官選弁護人として、ホールドアップ事件の被告を弁護することになったメイスン。
検察側の主張としては、車を運転していた被害者の男と助手席の女の証言がすべてなんだが、それをひっくり返すのは難しい。
そのための証人をポール・ドレイクに探し当てさせ、控室まで連れて来させていたのに、いざ呼び出そうとしたときに彼女は姿を消してしまっていた。
反対訊問でいろいろねばって、すこしは相手をまごつかせる場面もあったものの、折悪しく金曜午後5時になったんで裁判は月曜まで中断、敵方に口裏をあわせる時間を与えてしまいかねないことになる。
メイスンの考えでは、ホールドアップのあったとき、助手席に乗ってたのは裁判の証人とは違う人物、何らかの理由でそのことを隠すために、証人は自分が乗っていたと言い張っている。
めんどくさくなったのかもしれない、被害者は事件の取り下げを、検察は軽い罪状を、取り引きとして持ち出してきたりするけど、一旦戦い始めたメイスンは引き下がんない。
助手席にいたと言い張る証人の女は、三件のナイト・クラブを経営してるやり手なんだが、そこへメイスンは乗り込んで行ったりする。
ちなみに、たくさんのホステスを雇っている、この女性経営者が言ったとされるセリフは興味深い。
>立派なお客応対係りの女性に必要な資格はつぎの三つです。すなわち無邪気な顔、妖しげなからだつき、そして魅惑的な衣装の下にただ曲線だけを示すことです。
そっかー。
いつものように、あちこち駆け回ってるメイスンが殺人現場の死体を見つけちゃう、ってことは起きないんだけど、最近あった殺人事件の容疑がメイスンの弁護する被告におっかぶされる、って展開にはなったりする、やっぱり。
当然のことで最後に主人公のメイスンは勝つんだけど、おなじみ殺人課のトラッグ警部が出てきて、メイスンのこと理解してる味方のような役割で立ち回ってくれるとこが、シリーズ重ねてきて、キャラが立ってきたかなって思わされる。


コメント
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