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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ドローンズ・クラブの英傑伝

2020-08-02 19:30:43 | 読んだ本

P・G・ウッドハウス/岩永正勝・小山太一編訳 2011年 文春文庫版
いまさらながら読むことにしたP・G・ウッドハウスの小説なんだが、私にとっては3冊目、7月に中古で買った文庫。
この世でいちばんできた執事である、おなじみのジーヴズは登場しないのが残念だけど。
ロンドンの紳士の集まる場所であるドローンズ倶楽部のメンバーがとっかえひっかえ主役を演じる短編集。
イギリスには同好の士が集まるクラブってものがあるってのは、私はシャーロック・ホームズの兄マイクロフトが日参してたダイオジニズ・クラブくらいしか知らないんだけど。
ドローンズ倶楽部に集まってる皆が何をしてるかっていうと、どうも、仲間内の誰かがまた一目惚れしたうえでアタックしたら失敗したとか、おもしろい賭けの対象をみつけて勝負したんだけど豪い目にあったとか、そんなウワサ話にふけってるだけっぽい。
『アメイジング・ハット・ミステリー』 (The Amazing Hat Mystery,1933)
桁外れにいかつい大男のパーシーと競馬の小型ジョッキーなみの体格のネルソンがそれぞれイカす娘にほれた。
ふたりはお目当の女性にかっこいい姿をみせるため、ぴったりとした帽子を作ることでは定評のあるボドミンの店で同時にシルクハットを注文した。
『すべてのネコにさようなら』 (Goodbye to All Cats,1934)
フレディ・ウィッジョンはダーリア・プレンダビーに惚れていて、屋敷に招待されるまではうまくいっていた。
ところが彼女の一家は動物愛護精神に富み屋敷は動物だらけ、あてがわれた部屋のベッドにおいたシャツを三毛猫が引っ掻いてるのを見つけたフレディは、猫を窓から放り出す。
『スティッファム家のツキ』 (The Luck of the Stiffhams,1934)
ポンゴ・トゥイッスルトンが金持のウーフィー・プロッサーから賭け金をせしめて、クラブでメンバーに酒をおごっている。
ウーフィーが完璧に仕組んだはずの賭けは、アドルファス・スティッファムとジェラルディン・スペッティスベリーは結婚しないというものだった、スティッフィーは金がないうえに彼女の父親にも嫌われているはずだったから。
『タッズリーからの脱出』 (Trouble Dawn at Tudsleigh,1935)
フレディはエイプリル・キャロウェイに惚れて、タッズリー・コートの屋敷に顔を出すようになった。
彼女がテニソンの詩を読んでいることを発見し、自分も詩集を買ってにわか知識を仕込み、ボート遊びの約束にこぎつけるが、当日来たのは彼女の小さい妹だけだった。
『ビンゴのペキ騒動』 (Bingo and Peke Crisis,1937)
ビンゴの妻は六匹のペキニーズを飼っていたが、彼女の留守中に面倒を見ていたビンゴは、一匹少ないのに気づいた。
家の中にも、外に探しに行っても見つけることができないビンゴは、ペキなんかどれも見た目は一緒だから、どっかで他のペキを失敬してきてしまえばいいのだと思いついた。
『仮面の吟遊詩人』 (The Masked Troubadour,1926)
フレディは伯父のロード・ブリスターに紹介されたドーラ・ピンフォールドに一目惚れ、大いに意気投合した。
一緒に行ったノッティング・ヒルの慈善事業の集まりで、大勢のおかみさんたちを前に自慢の歌を披露したところ大喝采を受けた。
調子にのって一週間後の集会でケーキやココアをおごると約束したフレディだが、手持ちの金はなく、賞金の出るアマチュアのど自慢大会に出場するが、ピアノ伴奏者として雇った男がとんだヤクザものだった。
『編集長は本件を深く遺憾とし……』 (The Editor Regrets,1939)
ペキ事件を機に子供雑誌の編集長の職をえたビンゴだが、オーナーが下交渉してきたアメリカの人気女流作家をしくじる。
クビにされたビンゴは、旅行中の妻が帰ってきたら合わす顔がないと悩むが、気を紛らわすために行ったとあるパーティで意気投合した女性が当の作家だという幸運にめぐりあう。
『溶鉱炉の試練』 (Tried in the Furnace,1935)
クラブの余興大会で掛け合い漫才が秀逸と評判のバーミーとポンゴだが、直前までは口もきかない不和状態だった。
原因はリゾート地の牧師の娘アンジェリカ・ブリスコウに二人が同時に惚れたことだった。
『コージーコット荘の混迷事件』 (Unpleasantness at Kozy Kot,1959)
ダドリー・ウィックス=ビッフェンは、結婚予定だったクラリッサが舞台女優を夢見ているのに、大根女優になってどうするんだと失言してしまい、指輪と手紙の束を突き返されてしまった。
気分転換にマーヴィス・ベイというリゾートのコージーコット荘に滞在していたところ、偶然クラリッサに当地で再会したが無視されたので、彼女の歓心を得るために親類とおぼしき幼児を利用しようと計画する。
『フレディとウーフィーのプロレス同盟』 (Freddie,Oofy and the Beef Trust,1959)
フレディ・ウィッジョンはピアノ伴奏事件以来の腐れ縁にあるジャス・ウォーターベリーから儲け話をもちかけられる。
知り合いのプロレスラーらしき二人組を使って田舎町を興行してまわるというのだが、資金のないフレディは金持ちのウーフィー・プロッサーに声をかけて巻き込む。
『脂肪の塊』 (The Fat of the Land,1958)
クラブの昼食におじさんをつれてきて、どのおじさんが一番太っているかで勝者を決めて賭け金総取りとするクジ大会が開催された。
フレディのロドニー伯父さんほど丸々と肥満したひとはいないので、この札を引いたものの勝ちだろうという下馬評だったが、ウーフィー・プロッサーの会ったことない叔父さんというのが写真を見る限りそれを上回る体格で、この秘密情報をもとにウーフィーは自分が勝つためにクジの交換などを画策する。
『アルジーにお任せ』 (Leave It to Algy,1959)
ビンゴは幼い息子アルジャノン・オーブリーを連れて夏のリゾート地に来ていたが、カフスボタンを質に入れて買った馬券をいつものとおりはずしてしまっていた。
妻からカフスの盗難届を警察に出せと言われたが、そうすることのできるはずもなく金策に困っていると、当地で明日「可愛い赤ちゃんコンテスト」が行われるという話を聞き、金と引き換えにその審査員役を引き受ける。
特別収録作品『マック亭のロマンス』 (The Making of Mac's,1915)
マクファーランドのレストラン、通称マックの店はソーホーの安食堂だが、芝居帰りの夜食の客でにぎわっている。
その成功の裏話、先代の息子でいま経営者のアンディと、先代が友達の子を養子としたケイちゃんというダンサー志望の娘のことを、いちばんの古株の給仕ヘンリーが語る。

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