監修=比留田薫 令和元年 主婦の友社
死んだらどうしよ、と現実として考えたのは、去年の4月か5月ころだったか。
新型コロナが流行ってて(いま思うと量的には当時の感染状況はかわいいものだったことになるが)、なんでも突然悪化するという報道を目にしたからで。
アメリカ在住の医師だったかな、ふつうに働いていた丈夫なひとが、感染して、あるとき急に倒れて意識なくなって、人工呼吸器につながれたまま2週間だか3週間だか生死のあいださまよった、みたいなこと起きてると聞くと、自分がそうならないとはかぎらないと想像させられた。
まあ、死んぢゃったら人間おしまいなので、どうするもこうするもないんだが。
だから私が心配になったのは、正確にいうと、突然自分が死んでしまったら、いま持ってるモノとかどうしたらいいだろうか、生きてるいまのうちに自分の考えるとおり決めといたほうがよろしいんぢゃないか、そんくらい準備しとくべきでは、ってことだ。
簡単にゆーと、遺言にして書いとくかなあ、と考えたってことになる。
たいして数持ってるわけぢゃないんだけどね、たとえばやっぱ主にカネということになろうか、どこになにがあって、自分が死んぢゃったあと残ったものがあったら、どうしたらいいか、自分の意識がはっきりしてるうちに整理しとくのがオトナというものかなあ、みたいに思うわけで。
でも、それから一年経ったんだけど、具体的には、まだ形にしたもの、なーんにもしていないんだから、いーかげんな人間だ、我ながらあきれる。
そもそも床に積んである本をもうすこし片づけてから、本格的な身辺整理を考えろってんだ。
ちゃんと正式に残すには、なんか法律の決まりあるんだよな、そこちょっと勉強すっか、と思って、本を探して買ってみたのは今年の5月ころだったか。
いけませんねー、すぐ本を探したりしては、“自分で考えることもしないで、「何か本はないか」”というのは良くないって、こないだ丸谷才一の著書で読んだとおりだ、本を読むより考えろって。
ま、それはともかく、てっとりばやく本読めばそれまで知らなかったことも、ある程度情報仕入れることはできる。
自筆で遺言つくるのは、なんとかできそうでも、それって死後に見つけてもらわなければならないし、見つけても勝手に開封されちゃだめで、家庭裁判所での検認っつう手続きがあって、すべての相続人立ち会いのうえで開けるとか決まりあるらしい、めんどくさい。
弁護士に保管を依頼ったって知り合いいるわけぢゃないし、2020年からは法務局の保管所に預けることができるようになったっていうけど、めんどくさそうだなーと思うと、ちっとも肝心の遺言作成にとりかかんないだから無精者というか本末転倒だ。
遺言の種類とかルールの解説もあるけど、本書の多くのページは遺言の文例紹介と解説に割かれてる。
具体的で、なんか“手紙の書き方事典”みたいで、全部を実際に使うわけぢゃないけど、おもしろい。
たとえば「相続権のない人に財産を譲る遺言書」の項では、
・相続人は妻と子だが、母親にも譲る
・世話になっている嫁に譲る
・内縁(事実婚)の相手に譲る
・養子縁組をしていない妻の連れ子に譲る
・継母に財産を譲る
・娘婿に財産を譲る
・孫に財産を譲る
・甥や姪に財産を譲る
・世話になった人に贈る(1)相続人がいる場合
・世話になった人に贈る(2)相続人がいない場合
・愛人に財産を譲る
・財産の一部を寄付したい
といった場合の具体的文例が載ってたりするんで、興味深いものがある。
コンテンツは以下のとおり。
民法(相続法)改正! 知っておくべきチェックポイント
PART 1 遺言の基本
PART 2 ケース別自筆証書遺言の書き方
相続分を指定する遺言書
相続財産の分割方法を指定する遺言書
相続権のない人に財産を譲る遺言書
条件付きで財産を譲る遺言書
さまざまな状況に応じた遺言書
葬儀・臓器提供
PART 3 相続の基本
PART 4 贈与の基本