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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

勝負の店

2024-09-25 19:37:35 | 読んだ本
久住昌之 2022年 光文社
これは今年5月の古本まつりで見つけて、タイトルと著者名見て、すぐ買うの決めた、おー、こんなのもあるんだ、って感じで。
表紙の画見ただけぢゃ、マンガだかふつうの本だかもわからんくらいなんだけどね、エッセイ集でした。
(だって、男の画はどう見ても『食の軍師』でおなじみの本郷だからねえ、久住さんぢゃなく。(たとえば『食い意地クン』の表紙は久住さん。))
初出は『おとなの週末』の2016年~2022年だという、見たことないけど、それ、月刊誌なの。
(いま気づいたが『おとなの週末』は講談社なのに、本書の出版は光文社なの?)
内容は、「孤独のグルメ」よろしく、旅先とかで見つけた飲食店に、なんの予備知識もなしに己の勘を頼りに入ってく「勝負」をするときの話。
>自分の勘だけを頼りに「この店はイイのかツマラナイのか」と悩み、勝負をかけて入る。そしてそこで、食べ物や店主の対応に一喜一憂しながら、この店に入って正解だったか、それとも失敗だったか、考えつつ飲み食いするのが「勝負の店」だ。
>入りばな「ここはいい店」と答えを教えられると、コドモみたいにスネたくなる。
>なんて、他人から見りゃ、どうでもいい話なんだろうけど、そこがボクは面白いのだからしかたがない。(p.17)
って書いてあるとおりですね。
だから、イイかワルイか分かんないどころか、あきらかに相当入りにくいの部類に属する店の前でもさんざ悩んだうえで入ってったりする。
>今の若者だったら、ここですぐスマホを出して「高円寺 〇〇〇」で検索するだろう。するとたちまち店内の写真や料理やメニューや、入った人の感想や評価が出てくる。
>しないんだよ、そんなこと、俺は。勝負だから(ちょっと、自慢)。
>自分の観察力と、想像力と、過去の経験と、研ぎすました勘を総動員して、ここで飲食しようと決断し、勇気を奮って、店に入るのだ(ちょっと、大袈裟)。(p.47)
ってことです、勝負するのがたのしい、そこに悦びがあると。
お店の前で入ろうかどうしようか迷うのは、食べ物のメニューがどうかってだけぢゃなく、常連がいっぱいで何だこいつ的視線が突き刺さってくるような店内ぢゃなかろうかとか、そういうことも含まれる。
んで、勝負ってのは、料理の味がウマイかウマクないかだけぢゃないんだよね、店のひとの対応も大事、「これ量多いですか」って訊いたら「あ、少なめにしましょうか」と言ってくれるとか、食べたいけど既にほかで食事してきたからとかいうと「ハーフサイズにします」と言ってくれるとか、そういう気配りとか融通利かせてくれたりするのも大事。
それにしても、「孤独のグルメ」のテレビドラマに出てるせいで、いくつかの店では「クスミさんでしょ」とか声をかけられてたりしてる、テレビの力おそるべしだね。
どうでもいいけど、ウチから歩いて行けるとこにもドラマにとりあげられたお店あるんだけど、以来いつ通りがかってもすごい行列ができるようになっちゃった。
べつに私はその店に前からよく食べ行ってたとかぢゃないんで、もう普通にいつでも入ってけないなとか困ってしまったわけでもないから、いいんだけどさ。
いつも思うのは、あのドラマ見て、その店わざわざ行ってみよう(巡礼っていうの?)とか、テレビに出たメニューを絶対食べようとか、そういう人の考えかたが不思議、よくわからない。
だってねえ、それこそ何の事前の情報もなしに、思いきって飛び込んでって、これはどんなものだろうとか想像しながら、予想どおりだったり違ったりしながら出てきたものを、いいぞいいぞと食べるのが、あのドラマのおもしろさぢゃないですか。
それを、テレビでやってたからって、出掛けてって同じもの頼んで食べるって、「自分は「孤独のグルメ」ファンだ」とか言うのかもしれないけど、やってることは真逆だよね。
まあ、自分でなにか新しいもの見つけようとか開拓してみようとかなんてことはサラサラやる気がなくて、ただただ追体験をしたいだけなのかもしれない。そういうひと多いよね、っつーか増えたよね。
コンテンツは以下のとおり。タイトルがもろ「孤独のグルメ」してる。(「スパゲテーナポリタン」とか店側の表記を尊重しているのは『小説中華そば「江ぐち」』のころから変わらん。)
1 岡山県岡山市の珍味ピータンと支那そば
2 和歌山県和歌山市のすっぱい大根漬け
3 東京都武蔵野市の肉じゃが
4 新宿区中井の地酒とツブ貝
5 練馬区立野町の鯵の唐揚げ
6 練馬区関町の正油ラーメン
7 杉並区高円寺のピーマン炒め
8 北海道函館市のししゃも焼きと三平汁
9 杉並区阿佐谷の馬刺と濃口醤油
10 墨田区押上の透明グリーンソーダ水
11 東京都三鷹市のスパゲテーナポリタン
12 上海田子坊の海藻がのった揚げピーナッツ
13 東京都武蔵野市の牡蠣グラタン
14 葛飾区四つ木のカツオ刺(気仙沼)
15 東京都武蔵野市の賞味期限切れ塩エンドウ
16 東京都府中市の鴨せいろ
17 岐阜県飛騨市神岡町の奥飛騨らぁめん
18 群馬県前橋市の立派な3皿のお通し
19 佐賀県鳥栖市の玉子入りラーメン
20 千葉県柏市のシャヒジャルカレー
21 練馬区関町のBセットグリーンカレーつけうどん
22 埼玉県秩父市の焼鳥とピーマン、ポテトサラダ
23 台東区谷中の3小鉢とドライカレー
24 神奈川県南足柄市のおしつけ(あぶらぼうず)
25 豊島区西巣鴨の焼鳥と鰆の西京焼き
26 台東区浅草のもつ焼きと赤鶏のたたき
27 静岡県伊豆市の餃子と焼きそば
28 大田区糀谷のラーメン
29 佐賀県藤津郡太良町の焼きめしと豚汁
30 東京都西東京市のワンタンメン
31 栃木県宇都宮市のロース生姜焼き定食
32 鹿児島県奄美市の日替わり定食700円
33 東京都西東京市の煮込みと焼鳥
34 佐賀県唐津市のおでんと焼鳥、そしてちりめんじゃこ
35 新潟県燕市のもやし炒めとラーメン
36 大阪府大阪市のきざみうどん
37 大阪府高石市の生ハムと水ナスのサラダと、お造りハーフ
38 台東区上野のきびなごの一夜干しとふぐ入り湯豆腐

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