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投資としての住宅ローン

2013-01-15 08:08:08 | 12期生のブログリレー
堀江でございます。

アベノミクスと呼ばれる大型予算、日銀への影響力行使を期待し、大幅な株高・円安になりました。

政権交代が現実味を帯び始めた昨年11月から、「株は必ず上がる」と皆確信しましたが、すぐ行動を起こせたのはやはりヘッジファンドだけでした。私はいつもの「決めきれない私」でぐずぐずしてしまい、一生にたぶん数度しかない確実な投資機会をまた逃してしまいました。

アベノミクスに対する懸念は、多くのメディアが書いている通り、過度のインフレです。

ということで、本日はインフレを前提とした、超長期投資についてです。

証券業界に在籍していると、「この人の相場観はすごい」という人にほんの数人出合います。トップトレーダーやトップセールスパーソンのごく一部の人です。そういった人は、仕事の上で必要な説明可能な市場見通しとは別に、個人の資産管理の為の、分析に縛られない独自の相場観を持っています。それもとってもユニークなもの。

そんなすごい人の一人が、何年か前に、熟考に熟考を重ね行った個人投資は、「借金をして家を買う」でした。

日本市場を左右する最も大きな要素は、当然国の債務です。その人が、人口動向、産業の成長可能性、社会保障費の硬直性など様々な要因を熟考してたどり着いたのは、「やはり日本は普通のやり方では債務を返済できない」「だから、どこかでインフレを起こし、あるいはインフレを容認し、実質的債務を減らすだろう」という結論です。

新聞で刺激的に書きたてられているようなハイパーインフレを言っているのではありません。20年のうちに物価が結果的に数倍になるような、国家を破たんさせないインフレです。超長期国債の償還にまでに間に合うよう、実質的な返済負担を軽減させるインフレです。それがないと、どう考えっても返済は不可能という考え方です。年2%の現在のターゲットよりは大きくなります。

その中程度のインフレシナリオにおける、個人としての最良の投資行動は、「国と似たような債務を持つ」ことです。つまり、国と同様に超長期(20年超)の債務をもてば、国同様にインフレの恩恵を得られるからです。

個人で超長期債を発行することは勿論できませんから、最も長い大型債務を持つためには、「自分が住む家の住宅ローン」を組むことになります。

その方は、「投資として」住宅ローンを組むために、自宅を買い換えました。

もし今後20年ないし30年のうちにインフレが起きれば、借入の実質額はインフレ分減少します。

その人は、インフレの発生に強い自信を持っています。

ということで、住宅購入をお考えの方、体力のかぎりローンを長く、大きく組んだ方がいいかもしれません。すでに購入し、ローンを返済中の方、前倒し返済はしない方がいいかもしれません。住宅ローンが宝に思えるときが来るかもしれません。

という私は、まだ賃貸のままです。今回は行動起こせるかな。そもそも、自営業者の今、銀行はお金を貸してくれるんだろうか。

なお、この手の話の決まり文句ですが、「投資判断は自己責任で」。

【補足】

2012年に読んだ中でもっともインパクトがあった一冊を紹介します。ベストセラーになりましたので、すでに読まれた方も多いと思いますが、診断士にも適用できる部分がありますので取り上げます。

入山章栄「世界の経営学者はいま何を考えているのか」英治出版


米国在住の経営学者が、最新の経営学について、分野ごとに「現在どんな研究が行われているか」「どのセオリーが実証され、どのセオリーは効果がないと判断されたか」解説してます。論文ではなく、教科書形態でもなく、エッセイやブログのように読みやすく仕上げてあります。取り上げている話題は新鮮です。久しぶりに何度も読み返した本です。

特に面白いのは、「トランザクティブ・メモリー」の話。初耳でした。

人の記憶と、組織における記憶の構造の違いの研究です。「組織」として記憶を最大活用するなら、各個人の記憶(一生懸命覚える・習得する)ではなく、組織の中の「誰がそれを知っているか」整理理解することが重要、という主張です。

つまり、組織内の個人がそれぞれ平均的な学習をするよりは、個々は専門家となり、「誰が何を知っているか」をインデックス化することが重要とのこと。「これは○○に聞け」がすぐにわかるしくみが重要との考えです。

診断士全体を、協会を通じたひとつの組織と考えれば、とても納得がいく話です。全てのことを自分でやるのではなく、それぞれが強みを持ち、足りない専門性は他から補い合い仕事をすすめることになります。多様な先生あるいは協会外の専門家の「誰は何が得意なのか知る」ことが重要になります。

昨年来法制化の議論があるように、全体最適の為には、得意分野のデータベース化がやはり求められるのかもしれませんね。
コメント (1)
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