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島国への移民の話

2013-06-01 11:41:11 | 12期生のブログリレー
12期生の大川鉄太郎です。
スウェーデンで連日暴動が起きているニュースが流れていました。
同国は国民の15%が外国生まれ、つまり積極的に移民や難民をこれまで
受け入れてきた国です。しかしそのような新住人にとって期待が大き
かったこともあり、今は就業や人種差別において失望が大きいようです。
スウェーデンに限らずドイツやフランスでも移民排斥を唱える政党が票を
集め、ここ数年にパリやロンドンでも暴動が起きています。

なぜそうまでして移民を受け入れるのでしょうか? 第1には旧植民地の
人はもともと受け入れるしかない、という歴史的背景はあります。次に寛容の
文化とでも言うものも確実に在って、私は以前スウェーデンの若者集団と
パーティであったことがありますが、その中の何人かは韓国などアジアの
孤児院から養子でスウェーデンに渡った人たちでした。聞いてみると
ほとんどは実子のいる家庭であり、寛容の文化としか言いようがなく、
大きな違いを感じました。第3は経済合理性というか、労働力不足を補う
存在として受け入れてきた、という点もあります。この3番目がおそらく
問題であり、文化的支えが無い分であるため、限界点を超えると移民と
先住人の間で摩擦が起こりやすいと思われます。

日本でも最近、少子高齢化を乗り越えて経済成長を達成するための
根本対策として、移民の積極活用を唱える経済学者がいます。労働力も
消費者もこれからひたすら減り続ける国が、経済の縮小を踏みとどまらせる
唯一の対策が移民受け入れであるのは確かです。ただ致命的なのは第1~第3の
社会の受け入れ体制がほとんど無いことです。例えば今いるブラジル人の
子供は多くが小学校も卒業できないままになっているようです。日本語教育の
サポートが乏しく、いじめにあうからとされます。このような子供が増えて
いくと、次代の労働者・消費者どころでないのは明らかです。その点でアメ
リカはさすがというか、よそ者の受け入れに習熟していて、英語のできない
日本人の子供が学校でボランティアの支援を受けているのを私は見ています。

日本は国の将来像についてコンセンサス作りの議論を始める時期だと思い
ます。大きな分岐点は、経済的な縮小を受け入れて慎ましくも誇り高く
生きていくのか、経済的縮小は拒んで再び成長路線に戻して活気ある社会を
目指すか、です。コンセンサス作りを何もしなければ前者にしかなれないと
思います。後者は文化の変容まで伴う分、非常にハードルが高いからです。
右肩上がりの社会を見た経験が一度もない今の大学生や高校生、途方もない
金額の借金を確実に背負うその先の世代はどのような選択をするのでしょうか。
コメント (1)
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