東京都中小企業診断士協会中央支部認定!「稼げる ! プロコン育成塾」ブログ

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古本に刻まれた意思

2021-02-10 12:00:00 | 20期生のブログリレー

こんにちは。20期生の安納です。

稼プロ!カリキュラムも終盤に差し掛かり、診断実習が始まります。実習先は居酒屋を営まれる飲食業の店舗様です。私生活では顧客として大変お世話になっている業種なのに、経営する側としての理解を全く持ち合わせておりませんので、知識を補完しようといくつか書籍を読み始めました。

先日の講義で「診断士にとって書籍の購入は投資である。出費惜しむべからず」との教えをいただきましたので、欲しい本は躊躇しないよう心がけます。とはいえ、新刊本ばかりですと出費もかさみますので、古本を落札するなどしてカシコク集めています(因みに電子書籍には未だ馴染めておりません)。

タイトルのインパクトもあり、宇野隆史さんの「たった3品で繁盛店はできる! 居酒屋の神様が教える小さな商売のつくり方」も購入いたしました。ご自身の経験を踏まえた経営の心構えや工夫の数々を、軽妙な語り口で紹介されています。

読んでいるうちに、上司あるいは先輩に諭されているような雰囲気に包まれ、なんとなく肩の力を抜いて経営に取り組めるような気がして参りました。しかし、“お客様を喜ばせたい”という理念が本書一貫して通底しています。従業員の独立を促す親心なのでしょうか、飲食店経営に対する覚悟を求められているようで、たいへん骨太な印象を受ける一冊でもあります。

読み進めてまいりますと、少々の折れや擦れなどの古本らしさは仕方ないものの、くっきりマーカーの引いてあるページがありました。これは古本とはいえ返品かな、、、と思いましたけれど、いや、待てよ?マーキングした主、この本の前の所有者はどんな方だったか、が気になり始めました。本の性質から、飲食店に関わる人物であった可能性が高いです。マーキング部分を抜粋してみましょう。

・「悪いこと」だけを話していると、それが音になって自分の中に濃く残ってしまう(146ページ)

・繁盛している店はたくさんあるんだから、視察に行ってどうして繁盛しているかをつかんでくればいい。…端から試してみればいいでしょ(182ページ)

・絶好調の店は、照明の傘がピカピカなら、カウンターに並んでいる一升瓶もきれいに拭いて(183ページ)

(「たった3品で繁盛店はできる! 居酒屋の神様が教える小さな商売のつくり方」(宇野隆史、日経BP)より引用)

特に「端から試してみればいいでしょ」に至っては、波線まで引いてあります。

なんとなく、前の持ち主は、業績の悪化した店舗を経営されていた方であった可能性が高いように思えます。なかなか上向かない状況にこの本を手に取り、著者の言葉が響いて、①言葉に気をつけよう、②繁盛店から学ぼう、③身近なところから手を付けてみよう、と心に決めたのではないでしょうか。古本として手放したということは、きっと改革が奏功し、お店がうまくいくようになったのだと思います。そう祈りたいです。

これらのマーキング部が示すのは、客観的評価、競合研究、クレンリネス、の問題でした。前所有者の方は、著者の経験に基づく文章と対面形式で理解を深め、気づきを得てマーカーで記憶に刻みつつ、腹落ちさせて実行に至ったのだと思います。著者の経験を疑似体験し、相通ずる共感が働いて決断の実を結んだかたちです。

一方、経験の裏付けがない助言者においてはどうでしょうか。これは稼プロ!に参加した動機であり課題でもあります。

今こうして飲食店の知識を深めました。現象と結び付ける訓練をすれば、経営者・店長様と同じ視点で物事を捉え、実行を後押しすることができるはず。これは経営者と同じ方向を向いた伴走型アプローチ、羅針盤としての役目です。

羅針盤を動かし続けるためには、きっとこのほかにも色々な要素が必要です。いつかマーカーを引いてもらえるくらいの支援ができるよう、精進したいと思います。

コメント (3)
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