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若い世代が組織に求めるもの

2020-10-27 12:00:00 | 20期生のブログリレー

こんにちは。稼プロ!20期生のながいち!です。

息子が今年、就活でした。なんとか4月から働く会社は決めたようです。
他の就活生と同様、コロナ禍の影響をまともに受け、当初志望していた業界は多くの企業が採用を中止。あえなく路線を変更し、決めた会社に行きつきました。
10月1日に行われた内定式は、ウェブ内定式だったとのこと。
彼はその会社を訪問したことがなく、フルオンラインで就活に一区切り入れることになりました。今年の就活生に限って珍しいことではないのかもしれませんが、リアルに就職先の事業所を見ることなく、人とも会わずによく決められるな、と思います。

今年、そして少なくとも来年の新入社員は「コロナ世代」と括られることになります。
息子も含め。彼ら「コロナ世代」の所属企業への意識は、それ以前とどう違ってくるのでしょうか。(周りに新入社員がいないので、実感できていません。)

株式会社リクルートマネジメントソリューションズがこの6月に「2020年新入社員意識調査」を公表しています。調査月が3月から4月となっているので、世の中が最も不安で覆われていた時期であり、新常態の生活がまだ見えていなかった時期です。
時期による特殊要因がどれだけ調査結果に影響しているのかは分かりません。結果を見ると、毎年の回答状況の推移を公表している5つの質問項目のうち、「職場への期待」と「上司への期待」に関する質問への回答に前年との差が強く現れています。この2項目では、近年の傾向が一気に進んだように見えます。
本稿では、「職場への期待」に関する回答結果について感じた点を書こうと思います。

質問は、「あなたはどのような特徴を持つ職場で働きたいですか?」。これに対する回答の選択肢のうち、増加と減少、それぞれ選択率が前年から最も大きく変化したのは「お互いに助け合う」「活気がある」でした。
増加したのが「お互いに助け合う」。選択率は68.0%で過去最高、前年から7.6ポイントのアップでした。一方、減少したのが「活気がある」。選択率は27.1%で過去最低、前年から5.6ポイントのダウンでした。

選択率トップ3は「お互いに助け合う」「アットホーム」「お互いに個性を尊重する」。これらは、10年前と比べると、それぞれ20.0ポイント、7.0ポイント、14.7ポイントの増加となっています。
一方、「活気がある」「お互いに鍛え合う」は選択率が下がり続けています。10年前と比較すると「活気がある」は10年前から16.9ポイント、「お互いに鍛え合う」は10.4ポイント数字を落としています。

「活気がある」「お互いに鍛え合う」の低下をどう理解すればよいのか。特に「活気がある」職場を求める度合いが落ちていることは、意外な結果でした。
若者や働き方について研究と発信をしているツナグ働き方研究所・所長の平賀充記氏によると、最近の若者の傾向としてコスパ重視、無駄なことをしたくないという価値観が強い、とのこと。「お互いに鍛え合う」ことを望まないのは、厳しい環境が「いや」であると同時に、無駄なことをしたくない気質が現れているように思います。
「お互いに鍛え合う」職場も「活気がある」職場も、チームが仕事で成果を生み出すという職場の本質的な意義とは直接関係のないことに、エネルギーを使う職場と捉えることもできます。これを無駄と感じているのかもしれません。

一方、「お互いに助け合う」「アットホーム」「お互いに個性を尊重する」の選択率が上昇している状況を、どう理解すればよいのか。
答は、新入社員が職場に「心理的安全性」を求めている、ということではないでしょうか。
「心理的安全性」はGoogle社が提唱している概念です。Google社では、生産性の高いチームの特徴について社内調査した結果、メンバーが非難されることなく自分の意見を伝えられる、すなわちチームに「心理的安全性」が担保されていることが、最も重要な特徴であると結論づけました。そのようなチームでは、メンバーがお互いを尊重し助け合う意識が高く、優れたパフォーマンスを発揮するのだそうです。

リクルートマネジメントソリューションズの発表から言えるのは、若い世代は、メンバーが切磋琢磨し活気のある「競争型組織」よりも、お互いの個性を尊重しつつ助け合う「協調型組織」を求めており、その傾向が強化されたのが今年、ということです。
そしてGoogle社の調査結果と重ねることで分かるのは、そのような特徴をもつ「心理的安全性の高い」組織を作り、若い世代を活かすことが経済的にも企業に成果をもたらす、ということです。

Withコロナの新常態が続く場合、コロナ世代の社員数が増え、彼らの意識が新常態となって組織にインパクトを与えていくことになります。結果として、10年後には組織のあり方や、人と組織の関係が大きく変わっているでしょう。
診断士が、組織・人事について企業の経営指導等を行う場合も、その点よく考慮して提案する必要があるのではないでしょうか。

とはいえ、親としては10年後のことよりも、来年4月に息子が内定の取り消しなく社会人となってくれることを祈るばかりです。


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1 コメント

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Unknown (岡田 英二)
2020-10-27 21:02:25
ご子息の就職内定おめでとうございます。
時々耳にする各年度の新入社員のタイプがありますが、株式会社産労総合研究所が発表した2020年度のタイプは「結果が出せる?! 厚底シューズタイプ」だそうです。
最新技術とノウハウの蓄積を活用して結果を出せるといいですね。
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