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廃用症候群

2021-02-12 12:00:00 | 20期生のブログリレー

20期生の大井です。久々に衝撃的な単語を聞きました。

先週末、昨年のプロボノ支援先の運営報告会にオンライン参加しました。支援先は高齢者向け美容ボランティアNPO。理事長さんが「今年は本格的に『オンラインボランティア』に力点を置いて取り組む」と宣言していました。実はこれには深刻な背景があります。

高齢のご家族がいらっしゃる方はご存知と思います。今、コロナで病院・介護関連の施設は軒並み来訪者を遠慮しています。その結果、入所高齢者は、面会制限・外出制限、施設へのボランティア訪問中止、訪問歯科・訪問美容の中止、施設内催しの中止など、外部とのコミュニケーションが皆無に近い状態です。そして、この領域のボランティアも停滞しています。

それでも昨年のボランティアは、する方もされる方も、やはりリアルじゃないと・・・という雰囲気でした。その時のプロボノとしての私たちの提案は「コロナ長期化を想定し、オンラインを本格化をしましょう」でした。ただNPOの反応は、オンラインは施設側が対応してくれない、オンラインだとボランティアが集まらないと、戸惑いが大きいものでした。このNPOは先進的で他に先駆けオンライン美容講座も試していたもののなかなか軌道にのらず、コロナが収まるまで待とう、そんな空気も漂っていました。

しかし潮目は変わっていました。

「廃用症候群」、ゲストの認知症専門医の先生の発した衝撃的な言葉です。今、高齢者に蔓延し始めている疾患名で、
 「生活の不活発、過度の安静に伴って生じる体力の低下・身体的・精神的諸症状」の総称で、
 「身体も心も使わないことで衰えてしまった状態」
を指します。コロナ禍で過度に外部とのコミュニケーションが断たれた結果、高齢者の心身機能の低下は著しく、ADL(日常生活動作)低下、歩行機能低下、興味・関心・意欲の低下、うつ、認知機能低下、BPSD(認知症周辺症状)増加、身体疾患の増加・増悪など、目に見えて増えているとのこと。高齢者施設の閉塞感に包まれ重苦しい様子が目に浮かびます。

先生によると、この症状は発生前に手を打つことが重要で、コロナ対策(=非接触)とコミュニケーションを両立する切り札は、もはやオンライン活動しかないそうです。オンラインは、感染リスクゼロ、遠方でもベッド上でも参加可能、受ける側も発信者として活躍可能な媒体。このメリットへの期待は大きく、オンラインボランティアの展開は有意義かつ喫緊とのお話でした。本音はリアル復活の望みが薄くオンラインに頼るしかないということで、高齢者施設の現場は相当に追い込まれていると感じます。

NPOも、オンラインマッサージ教室、オンライン盆踊り、オンライン体操教室など、本来の美容ボランティアとは違う取り組みを模索していました。少しググると、オンライン面会、オンラインアクティビティ、オンライン認知症カフェなど、徐々に事例が出ています。ただオンラインに不慣れな方々です。まだまだ設備面、運営面、コンテンツ面、課題が山積み。相談を受けノウハウを広めるだけでも、大きく貢献できそうです。

このような状況を聞くにつけ、コロナは感染症の直接的な悪影響よりも、社会的死をもたらす間接的な悪影響の方が深刻とつくづく思います。まだまだWithコロナが続きそうです。ボランティアに限った話ではなく、オンラインで社会的繋がりを保ち広げる施策、それを実現するテクノロジーがKSF(Key Success Factor)になっていす。そして、オンラインでは「誰も取り残さない」ことが重要と、あらためて思い直しています。

参考:支援したNPOのホームページです。認定NPO法人 プラチナ美容塾。
https://platinabeauty.com/


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3 コメント

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Unknown (おのだ)
2021-02-13 00:24:18
なかなかに難しい問題です。オンライン以外の解が見当たらないとことが辛いですね。
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Unknown (たけい)
2021-02-14 23:18:08
私が参加している市の食育ボランティアでご一緒している市の栄養士さんも、高齢者のADL低下による、食生活や健康面の心配をしていました。
私もその手の知識は少しはあったので、両家の親たちには、引きこもりすぎて日常生活レベルの低下が一番怖いと話しています。
稼プロ!で学んだ「声のパワー」+「相手に寄り添う」=4月以降は電話の回数が増加(笑)。
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Unknown (岡田 英二)
2021-02-16 19:06:34
心と体の健康を維持していくことは、年とともに意識し続ける重要性が上がってきますね。
オンラインだと、本人が行動を起こさないと始まらないという点が、難しさの1つかもしれません。
本人も周りの人たちも、楽しくなるような取り組みができるといいと思いました。
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