みなさん、こんにちは。第19期生の佐々木辰也です。
先日、DX(Digital Transformation)について佐々木晋さんがお書きになられていたのに続いて、今日は私がITについて最近感じたことをお伝えしたいと思います。
昨今話題のAIには企業が手軽に導入できるものとしてチャットボットがあります。また、同じくらい話題に上がるRPAがオフィスワークの自動化ツールとしての地位を確立してきています。ITを使い慣れている企業のオフィスでは、これらはすでに珍しいものでは無くなってきています。
必要な道具とわずかな時間で習得できるスキルがあれば、これらを使ってそこそこ便利なコンピュータプログラムを作ることができます。こういった手軽さによって、急速に浸透してきたものと推察できます。
振り返ると、ここ20年くらいにもこれらと似たような普及の経過をたどったプログラムがありました。例えば、Excelマクロやグループウェアの掲示板データベースで個人が作ったプログラムのことです。当時の記憶がある方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながらこれらの多くは廃れていきました。管理体制が維持できなかったり、発展のビジョンが描けなったりしたというのが廃れた直接的な理由でした。
しかし根本的な原因は、これらの個人作成プログラムのほとんどが部分最適な合理化を目的としてスタートした、ということにあるのではないかと私は考えています。つまり、部分的業務の範囲を超えることを前提としていないために、その多くはそもそも廃れてしまう運命を背負っていたのだろうと思います。
業務の範囲を超えて発展するには、他のITツールとデータをつなげるという機能が必要になります。このニーズに応える新たな考え方の一つがDXではないかと思います。
私は、DXの本質は仕事の中で「デジタルとデジタルを直接につなぐこと」にあると考えています。
「つながるなんて当たり前。給料も銀行口座に振り込まれたり、小銭が交通系ICカードにとって代わったりと、デジタルで活動がつながったじゃないか。」と思った方もいるでしょう。
「すでにビジネスでも多くがつながったじゃないか。ビジネスで使っているパソコン上で、なんでもコピペできるようになったし。」と主張する方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、これらの「つながる」は、「直接に」ではありませんでした。なぜそう言うのかというと、デジタルとデジタルの間に「アナログ」である私たちヒト自身が介在していたからでした。
給与口座から支給日にATMから現金というアナログを引き出すのは私たち自身というアナログですし、それを駅の券売機でICカードにチャージするのも私たち自身です。「なんでもコピペできる」という話では、私たちのマウスにかけている手やクリックしている指、PCに向かっている私たち自身がアナログなのです。
ここからは私の経験のお話です。
3年ほど前に会社の仕事で社外振込や経費精算の自社向けアプリケーションシステムを刷新するプロジェクトを担当しました。
それまで使っていたアプリケーションは、メインフレーム→オープン系→Web系とヒトにとっての使い勝手は向上し続けた自前開発のものでしたが、30年も基本設計が変わっていないためにその業務フローにアナログ作業が至る所に残っていました。
ここでいうアナログ作業とは、たとえば以下のようなものでした。
・金額や費目があっているかどうか、出納パーソンが税務の観点も含めチェックする
・出張代のホテル代や航空代がグレーなケースの妥当性を判断する(緊急時などで規程違反にならないケースなど)
・証憑を後日の監査にたえうるようにファイリングして保管する
業務フローの途中にアナログ作業が残る限りは人件費が発生しました。その業務をこなすために必要な専門スキルの維持コストもかかりました。PDCAのサイクルには必ずヒトの介在が必要になりますが、Do(ドゥ)に限定して言えば本来は不要なコストを生むアナログ作業は避けたいものです。
刷新後の新システムではデジタル同士がつながって、これらのアナログ作業が大きく縮小しました。それにより業務の品質も納期もコストも格段に下がりました。ミスによるリスクも下がりました。
この刷新の仕事が終わって、「こういったアナログをやめてデジタルを直接につなぐことがDXの一つの類型であって、DXの本質をとらえているかもしれないな」と感じたものでした。
人手不足や働き方改革は中小企業にとって重要な経営課題になっています。
事業や業務の設計段階からローコスト・ローリスクを目指す際には、DXに基づいたソリューションを取り入れるのはとても有効な選択肢になるでしょう。
先日、DX(Digital Transformation)について佐々木晋さんがお書きになられていたのに続いて、今日は私がITについて最近感じたことをお伝えしたいと思います。
昨今話題のAIには企業が手軽に導入できるものとしてチャットボットがあります。また、同じくらい話題に上がるRPAがオフィスワークの自動化ツールとしての地位を確立してきています。ITを使い慣れている企業のオフィスでは、これらはすでに珍しいものでは無くなってきています。
必要な道具とわずかな時間で習得できるスキルがあれば、これらを使ってそこそこ便利なコンピュータプログラムを作ることができます。こういった手軽さによって、急速に浸透してきたものと推察できます。
振り返ると、ここ20年くらいにもこれらと似たような普及の経過をたどったプログラムがありました。例えば、Excelマクロやグループウェアの掲示板データベースで個人が作ったプログラムのことです。当時の記憶がある方もいらっしゃるかもしれませんが、残念ながらこれらの多くは廃れていきました。管理体制が維持できなかったり、発展のビジョンが描けなったりしたというのが廃れた直接的な理由でした。
しかし根本的な原因は、これらの個人作成プログラムのほとんどが部分最適な合理化を目的としてスタートした、ということにあるのではないかと私は考えています。つまり、部分的業務の範囲を超えることを前提としていないために、その多くはそもそも廃れてしまう運命を背負っていたのだろうと思います。
業務の範囲を超えて発展するには、他のITツールとデータをつなげるという機能が必要になります。このニーズに応える新たな考え方の一つがDXではないかと思います。
私は、DXの本質は仕事の中で「デジタルとデジタルを直接につなぐこと」にあると考えています。
「つながるなんて当たり前。給料も銀行口座に振り込まれたり、小銭が交通系ICカードにとって代わったりと、デジタルで活動がつながったじゃないか。」と思った方もいるでしょう。
「すでにビジネスでも多くがつながったじゃないか。ビジネスで使っているパソコン上で、なんでもコピペできるようになったし。」と主張する方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、これらの「つながる」は、「直接に」ではありませんでした。なぜそう言うのかというと、デジタルとデジタルの間に「アナログ」である私たちヒト自身が介在していたからでした。
給与口座から支給日にATMから現金というアナログを引き出すのは私たち自身というアナログですし、それを駅の券売機でICカードにチャージするのも私たち自身です。「なんでもコピペできる」という話では、私たちのマウスにかけている手やクリックしている指、PCに向かっている私たち自身がアナログなのです。
ここからは私の経験のお話です。
3年ほど前に会社の仕事で社外振込や経費精算の自社向けアプリケーションシステムを刷新するプロジェクトを担当しました。
それまで使っていたアプリケーションは、メインフレーム→オープン系→Web系とヒトにとっての使い勝手は向上し続けた自前開発のものでしたが、30年も基本設計が変わっていないためにその業務フローにアナログ作業が至る所に残っていました。
ここでいうアナログ作業とは、たとえば以下のようなものでした。
・金額や費目があっているかどうか、出納パーソンが税務の観点も含めチェックする
・出張代のホテル代や航空代がグレーなケースの妥当性を判断する(緊急時などで規程違反にならないケースなど)
・証憑を後日の監査にたえうるようにファイリングして保管する
業務フローの途中にアナログ作業が残る限りは人件費が発生しました。その業務をこなすために必要な専門スキルの維持コストもかかりました。PDCAのサイクルには必ずヒトの介在が必要になりますが、Do(ドゥ)に限定して言えば本来は不要なコストを生むアナログ作業は避けたいものです。
刷新後の新システムではデジタル同士がつながって、これらのアナログ作業が大きく縮小しました。それにより業務の品質も納期もコストも格段に下がりました。ミスによるリスクも下がりました。
この刷新の仕事が終わって、「こういったアナログをやめてデジタルを直接につなぐことがDXの一つの類型であって、DXの本質をとらえているかもしれないな」と感じたものでした。
人手不足や働き方改革は中小企業にとって重要な経営課題になっています。
事業や業務の設計段階からローコスト・ローリスクを目指す際には、DXに基づいたソリューションを取り入れるのはとても有効な選択肢になるでしょう。
話はずれますが最近やっとマネーフォワードを使って銀行口座とカードと電子マネーとよく使う買い物サイトを一元管理するようにしました。便利ではありますが、残高や引き落とし予定から自動的に必要額だけ口座間で振り込み、送金をやってくれるともっと便利なんですが。
なるほど・・。別の言い方をすれば「できる限りアナログを排除する」という感じでしょうか。
最近もやっとしていたDXがちょっとスッキリしました。ありがとうございます。
データを作成したりエントリーしたりする仕事を、人がやらなくなると、チェックする人も同時に不要になるのでリスクが著しく下がります。リスクを極限まで下げてリーンなビジネスを作るのが、業務レベルのモデルをつくるのにも、企業レベルのモデルを作るにも一つの成功要因になるのではないかと思います。
私もマネーフォワードの無料版を使っています。携帯電話料金の費目別に月比較ができるのがうれしいです。
口座残高の管理はたしかにあるど便利ですね。私は家族全員で同じ銀行に口座をつくって、スマホで送金を行って手数料がかからないようにしています。これを自動化できるサービスを銀行が行ってくれればいいのですが。
DXもキーワードとしては新しいですが、その概念は昔からあるものですよね。
中間にあったアナログを抜いても、ビジネスプロセスが成り立つくらいに技術が発達してきたということなのでしょう。
アナログとしての私たちは、せめて中間から排除されても、ビジネスフローの最後(受益者)としては排除されないように気をつけなければいけませんね。