こんにちは!
稼プロ!20期生の大野徹司です。
9/16、第99代内閣総理大臣に菅義偉氏が任命されました。
菅首相は、グローバル市場における日本経済の競争力強化のために、中小企業基本法の見直を進めると発言しています。というわけで、今回は「中小企業のM&A」について調べてみました。
9/6、日経新聞インタビュー記事の中で、菅首相(当時官房長官)が下記のように発言しました。
「日本の中小企業の生産性が諸外国に比較して低いことに懸念を示し、小規模の利点を生んでいる中小企業基本法の区分要件の改正と、合併などで中小企業を再編し規模を拡大することで経営の効率化や生産性の向上を図りたい」
具体的には何をするのでしょうか?
中小企業基本法で定める中小企業の定義を変更し、中小企業数を少なくすると言われています。中小企業には各種の優遇制度がありますが、優遇を受けられる企業を少なくするのです。そして、優遇が受けられない企業のM&Aをうながすことで、規模を大きくし生産性を向上させます。この着想は、菅首相と懇意であるデービッド・アトキンソン氏から得ているといわれており、以下にアトキンソン氏の発言を抜粋してみます。
・日本企業の平均規模はアメリカの6割、EUの3分の2しかなく、労働生産性が低迷する大きな要因
・全ての企業を守るのは不可能で、生産性の低い中小企業にはM&Aなどの形で変化をしてもらうか、
退場してもらう必要がある
・小規模事業者の生産性は大企業の41.5%。生産性の最も低い企業群で働く労働人口の比率が上がる
ことによって、国全体の生産性は劇的に低下
・日本で最先端技術の普及が遅れている原因は、お金がないとか、人材がいないといった理由ではなく、
その技術を活用できるほど企業規模が大きくない
・政府は企業の選別が必要であり、小規模事業者の優遇を減らすことで、
労働力を小規模事業者から中堅企業へ移動することを促す必要がある
なるほど、とも思えますが、多くの反対意見もあるようです。
方向性が正しいか否かは別にして、中小企業の廃業が増える中では、M&Aも増えていくと想像できます。
さて、M&Aはどのような手順で行われるでしょうか?
一般的には、他社への売却(売り手)の場合、以下のステップで進むようです。
Step1:専門家への相談
Step2:売却価額の試算
Step3:Pre M&Aとして会社のバリューをあげる(磨き上げ)
Step4:買手候補と価額等の条件について交渉(仲介者がいる場合は仲介者が交渉を行う)
Step5:財務・税務・法務・労務・ビジネスデューデリジェンスの実施(一部実施もあり)
Step6:最終条件の交渉
Step7:最終契約書の締結・決済
M&Aは高額な金銭が動くため、主に公認会計士や税理士の出番が多いようです。
しかし、Step3の磨き上げやビジネスのデューデリジェンスは中小企業診断士の出番です。
かなりハードルが高い業務ではありますが、調べれば調べるほど「やりがいのあるもの」に思えますので、
勉強を続けながら、少しずつ関わりを増やしていきます。
たいへん生意気な言い草になりますが、アトキンソン氏の主張は、おそらく一人ひとりの診断士が「支援とは何か」という観点から向き合わなければいけない主張のように感じています。
検索をかけても診断士でコメントされている方はあまりいらっしゃらないように思っていたのですが・・・・・・・・
いらっしゃいました。稼プロ!講師の小野田さんが2月に本ブログで取り上げていらっしゃるのを発見しました。
診断士資格を取ったからか、世間の風潮なのかは分かりませんが。
事業承継の視点からもM&Aの重要性が増してきているようですので、機会は増える方向なんだと感じています。
しかし、先端技術と企業規模の相関はちょっとバイアスがかかっているように思います。