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『三度目の日本』~堺屋太一さん遺作の書籍~

2021-02-16 12:00:00 | 20期生のブログリレー

 こんにちは、20期生の岡田です。
 今回のブログは、2019年2月に逝去された堺屋太一さん(以下、著者)が遺した日本人への提言が記されている書籍を参考にします。

 タイトルの書籍には次のようなことが書かれていました。
「近代日本は二度の変革期を経験している。一度目は幕末から明治となる1860年代であり、二度目は太平洋戦争に敗れた1940年代である。この時、国民は価値観が大きく変わり、それまでの美意識や倫理観が否定された。」
 著者はこの大きな価値観の変化を「敗戦」と呼び、2010年代は三度目の「敗戦」ともいうべき状態であると記しています。そして2020年のオリンピック以後に(実際にはオリンピックは延期になりましたが)、大転換期を迎えると著者は生前予想していました。現在の状況を見る限り、その予測は大筋で当たっているように思われます。

 これまでの価値観といえる「二度目の日本」とはどういうものでしょうか。この本では「高度経済成長と規格大量生産」による「豊かな日本」を目指したものとしています。たしかに、今の日本では高い経済成長は考えられない。そして、規格大量生産の拠点は国内から海外へとシフトしている。こう考えると、「二度目の日本」の価値観は、すでに変革期を迎えていると言えそうです。

 ところで、「一度目の日本」の価値観と、二度目の変革期はどのようなものだったのでしょうか? 「一度目の日本」は明治時代から昭和初期であり、江戸時代の「天下泰平」と「様式や礼儀」を大事にする価値観から、「勤勉努力」や「進取の気性(従来の習慣にとらわれずに積極的に新しいものに取り組む気質)」と「忠義」を大事にする価値観に変わったとされています。この価値観は、資本家が思いのままに労働者を搾取することに機能したとも考えられています。そしてこのことが、国民による内需が拡大しないこと、既に欧米で始まった規格大量生産が当時の日本で始まらなかったことにつながり、太平洋戦争の終戦とともに価値観の終焉を迎えたようです。

 現在に話を戻すと、前述したとおり「二度目の日本」の価値観は終わりを迎えつつあります。「二度目の日本」では「豊かな日本」を目指したことで、とても住みやすい国になりました。犯罪は少ない、清潔、交通機関も充実しています。このことで、冒険しない社会となり、多様性と意外性が失われつつあると著者は指摘しています。そのため、著者は「三度目の日本」では「楽しみを正義にしよう」と提唱していました。つまり、「楽しい日本」を目指し、多様性を認めて、東京一極集中を終わらせ、「人生で何を遺せるか」を考えて達成感を得ることをこの書籍の中で著者は挙げています。

 著者が予想や提唱した「三度目の日本」に向かう変化は、もうすでに始まっているように思われます。公的な場で多様性を否定していると感じられる発言は大事に至りますし、東京都の人口も減少傾向にあります。

 私自身、あまり冒険をしないタイプですが、「進取の気性」を持ち、「多様性や意外性」に注目して「楽しい日本」を目指せるような生き方を模索しようと思わせる書籍でした。中小企業診断士の活動でも、「楽しい日本」につながる企業を積極的に支援していきたいと考えます。


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