こんにちは。22期の浅野です。
なかなかネタを探すのが大変ですね。また本の話題で恐縮ですが、今回はサービス・ドミナント・ロジック(SDL)の話しをしようと思います。
SDLは2004年にロバート・F・ラッシュとスティーブン・L・バーゴが発表した論文が始まりです。その考え方をまとめたのが「サービス・ドミナント・ロジックの発想と応用」という書籍で、日本語版は2016年に出されています。もともとはビジネススクールの修士論文のネタ探しをしている際にSDLを発見し、興味を持ったので本を読んだという経緯です。
読んでいると眠くなる読み物なので、イメージを掴んでいただくためにポイントとなるSDLの公理を紹介します。
- サービスが交換の基本的基盤
- 顧客は常に価値の共創者
- すべての経済的および社会的アクターが資源統合者
- 価値は常に受益者によって独自にかつ現象学的に判断される(価値は経験的=現象学的である)
SDLの対局にあるのがグッズ・ドミナント・ロジック(GDL)で、モノに価値があるという考えです。一方、SDLはモノには価値があるわけではない。価値は受益者が価値を認識したときに生まれる。つまり、顧客を価値の共創者と考えます。アクターとは生産から販売などサービスが顧客に届くまで、価値共創に携わる人たちです。
これを読んだときに、自分はハッとしたのです。自分の顧客であった或るメーカーで、社長が変わってから、「UX」だの「ワーオを届ける」だの言い出し、エンジニアも「ハードは何でもいい、所望のものがないから作るだけ」と言い出したことを思い出したのです。それまでは先端技術や性能にこだわっていたのに、社長が変わって態度が一変したのを10年近く不思議に思っていました。SDLを知った時に「これか」と思ったのです。それがこの本を読んだきっかけです。今となっては、その変化がSDLによるものか確かめる機会がありません。デザイン思考か何か別の考えを導入したのかもしれません。しかし、まさにGDLからSDLへの様な大きな視座の変化があったのでしょう。
SDLは高次の考え方があるだけで、経営メソドロジーがあるわけではありません。そこが課題なので、研究に挑戦しようかと思いました。しかし、「1年ではまとまらないからやめた方が良い」というアドバイスを受け納得の上断念しました。しかし、このテーマは興味があり頭の片隅に置いています。
以前ほどではないですが、ときどき「安くていいもの」とか「高性能」というGDL発想の企業があります。そういう企業がSDLの視座を持つと、価値提供の仕方や価格などマーケティングが違ったものになるでしょう。
以上、サービス・ドミナント・ロジック(SDL)のお話しでした。
浅野さんがもしいつか研究された際には研究結果を楽しみにしていますね。
確かに商品は人によって価値の感じ方が違いますものね。でも受益者が感じるまでそのものには価値がない、という考え方は面白いですね。アクターの発想はありませんでした。