みなさん、こんにちは
稼プロ!19期生の森です。
さて、年末に、公正取引委員会から次のプレスリリースがありました。
「公正取引委員会による独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果の公表について」https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/dec/221227_kinkyuchosakekka.html
要するに、原材料費やエネルギーコスト等が上昇しているにも関わらず、それを取引価格に反映せず据え置くことは、独占禁止法上の優越的地位の濫用の要件の1つに該当するおそれがある、ということで、今回、受注者や、受注者から名前の挙がった発注者に書面や個別調査を行い、その結果、特に複数の受注者から名前が挙がり、かつ多数の取引先に対し実際に価格転嫁の協議が行われていない13社の企業名の公表を行ったという結構インパクトのある内容です。
直接の目的は円滑な価格転嫁を促すことですが、その狙いとしては、政府が今躍起になっている(ように一応見える)物価上昇に対応した賃金アップに繋げていくことなのだろうと思われます。
急激な円安もあって、他の先進諸国との賃金や物価の比較などから、長きにわたって賃金が上がっていない異常さが改めて注目され、一方で物価は着実に上昇していることから、経団連会長の会見でも「賃上げは企業の責務」、「賃金と物価の好循環を」といった発言があるなど、とにかく、今回は個々の企業努力では限界で、サプライチェーン全体で対応しなければ、という政府、経済界の強い意志は感じられるような気がします。
それと同時に叫ばれているのが、リスキリングとか雇用の流動性を高める、といった方向性です。
中小企業の支援では、人材確保と定着が一つの大きなテーマだと思いますが、こうした政策の方向性とどう整合させていくのかがこれから重要なのかなと思います。
実は流動性と雇用維持というのは相反するものではなくて、先ず人を採用するには雇用環境や雇用管理を改善して魅力を高めて、そこで働く価値をしっかり提示できることが必要で、更に雇用したら教育訓練や自己研鑽を奨励するような制度も整備して他社からも評価されるような人材になってもらう、ということが理想であることに異論はないはずです。その結果自社を更に大きくしようと頑張ってくれる者もいれば、ここよりも他社の方が自分を必要としてくれると感じて転職する者も出てくる、ということではないでしょうか。
つまり個々の企業が上で言うような健全な雇用確保・維持を図ろうとすれば、結果として(全体として)流動性も高まり、それは好循環につながる。同時に日本は高齢化、人口減少も進む中にあってDXなどによる生産性向上が不可欠で、特に中小企業が遅れているところだと思います。
とにかく、失われたウン十年、そろそろなんとかなりませんかね。
賃金アップも価格転嫁も雇用環境の改善も、お上が声高に叫んでも中小企業に響くには時間がかかりそうですね。私も中小企業勤務ですが、苦労しています。
やはりニュースだけでは分からないことも多いようです。