東京都中小企業診断士協会中央支部認定!「稼げる ! プロコン育成塾」ブログ

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TOKYO PACK 2024

2024-11-20 12:00:00 | 24期のブログリレー

こんにちは。24期生の山口です。

今回は、「実践に活かせそうなもの」を意識して、先月訪問した「TOKYO PACK 2024」という展示会について述べさせて頂こうと思います。

TOKYO PACK 2024(東京国際包装展)とは、包装資材、包装機械から包材加工機械、食品機械、環境対応機材、物流機器類 等、生産・包装・流通の技術振興をはかるとともに、交流および包装の最新情報発信の場として、国際的な視野に立った社会の発展に資することを目的に2年おきに開催されている展示会です。
今年の入場者数は、3日間で221,301人と大きな展示会です。
(出所:https://www.tokyo-pack.jp/)

なぜ、この展示会を訪問したかというと、現在、会社で脱プラスチック包材化と包材コストダウンを包装設計技術者と共に推進しているためです。3分ミニプレゼンでも少し触れましたが、世界的に環境配慮が進んでおり、世界各国でプラスチック包材の規制が加速しています。そのため、プラスチック使用量の多い包材では、脱プラスチック化が必須の状況になっています。現時点では、一般的に脱プラスチック包材化するとコストは悪化する傾向であり、企業としては悩みどころです。現在、私の関わっている商材は、その特性から比較的コストダウンの可能性もあるため、脱プラスチック包材化とコストダウンの両立を目指しており、そのための手法や工夫の余地、新しい素材が無いかなど、ヒントや気づきを得ることを目的に訪問しました。

まず、全体の印象ですが、やはり昨今の環境対応の流れから紙質系の素材、生分解性のある素材を中心に使用事例や活用提案を主とした展示が多かったです。2年前にも同展示会を訪問しましたが、その時点から環境対応の展示が多く、その面からすると今回は斬新で目新しい物はあまりなかった印象です。例えば、ポリ袋の代替提案は前回もありましたが、今回もいろいろなブースで展示されていました。バリエーションや活用提案など増えた感じですが、どのブースで聞いても前回同様、コストは上がるという話でした。更なるロット効果を待つか、コストアップしても導入する必要性に迫られている領域か、環境アピールを会社方針として強力に打ち出そうと意図している企業などでないと、なかなか採用は難しいのではとの印象を受けました。
一方で、私の部門で取り扱っている商材については、少しアレンジしたり、工夫したり、組み合わせたりすることで、実現可能性のありそうな手法や設備等もあったので、今後、包装設計技術部門と検討してみたいと思いました。

また、前回より変わった点としては、アジア系の外国企業の出店が増えていたことです。前回は、コロナ禍が明けかけた頃でしたので、国際展示会ではあるもの、海外からの出店はそれほど目立たない印象でした。今回は、多数のアジア系企業がブースを構え展示エリアも広くなっており、日系企業への売り込みや取引拡大に向けた姿勢を感じました。

製品を出荷する際には、何らかの包装材が使われていると思います。1回で廃棄されるシングルユース包材や、取引先間と回転させるリターナブル包材、海外輸出している企業は国際輸送に耐えられる包材を使用するなど、種類や形態も様々と思います。また、製品の形状、重量、品質維持、危険物管理など、商品の特性により包材への要求事項も異なるかと思います。これら包材に掛かる費用も含めてコストになります。診断士として、中小企業 製造業の原価低減・コストダウンを含む各種支援にあたる場合は、製品に要求される事項を維持することは前提ですが、包材も一つの視点として見こうと思っています。

最後までお読み頂き、有難うございました。

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アップルファーム社の取り組みに学ぶ―障がい者雇用を軸とした真似できない世界観

2024-11-19 12:00:00 | 24期のブログリレー

22期の藤川です。

アップルファーム社は、宮城県を中心に、障がい者雇用を基盤とした事業を展開する企業です。今年4月の「人を大切にする経営研究会」での社長講演をきっかけに、先日、仙台で渡部社長から直接お話を伺う機会をいただきました。社員一人ひとりの「役割」が企業の成長に果たす意義について理解することができ、大変学びの多い時間となりました。

1. 経営理念が導く役割

アップルファーム社の経営理念には、「全ての人が役割を自覚し、真の幸せを追求できる社会を目指す」と掲げられています。この理念を基に、社員が自身の役割を認識し、身に付けていく過程を重視した経営を実践されています。
渡部社長は、「役割を明確化し、それを自分のものにするには3年かかる」と語り、時間をかけた対話とサポートの重要性を強調されていました。同社が運営する「自然派ビュッフェレストラン 六丁目農園」でも、障がい者が苦手とする接客業務以外の、能力を発揮できる場を提供しています。例えば、聴覚障害のあるスタッフにはピザ窯の担当を任せるなど、適材適所での配置が行われていました。

2. 強みを活かした事業モデル

上記の「自然派ビュッフェレストラン 六丁目農園」では、障がい者雇用を中心としながらも、一般の飲食店にはない独自の価値を提供しています。ビュッフェ形式を採用することで配膳業務を削減し、その分、厨房業務に人手をかけ、手作りに徹底的にこだわった運営を実現しています。例えば、一番人気の「人参ラぺ」は、人参を一切れずつ丁寧に手作業でカットするなど、細部にわたる配慮がお客様から高い評価を得ています。私もいただきましたが、柔らかな口当たりでとても美味しく、素材本来の味わいが伝わってきました。
同社では、障がい者福祉事業所としての強みを生かしながらも、一般事業として収益を上げる独自の事業モデルを築いてこられました。渡部社長は「方法は真似できても、15年のノウハウや世界観は真似できない」と語っています。その結果、現在では予約が数カ月先まで埋まる大人気店となっています。

3. 「経営者」の役割

渡部社長は、「経営者の役割は社員一人ひとりの役割を発見し、それを支援すること」だと語られていました。社員をやる気にさせることが社長の仕事であり、社員の強みにフォーカスすることで、経営者自身も、心の安定を得られるとおっしゃっていたのが、とても印象に残っています。また、「人が生み出す付加価値」に注目し、DX化が進む中でも顧客に接する部分は人の力で行うべきだという考え方からも、事業への強い思いが伝わってきました。

アップルファーム社は「役割」を軸に、障がい者雇用を福祉ではなく事業の強みとする姿勢を貫いておられます。この取り組みは、企業経営のあらゆる場面で非常に参考になる考え方だと感じました。

仙台を訪れる機会があれば、「自然派ビュッフェレストラン 六丁目農園」にも立ち寄り、同社の想いが詰まった料理と空間を体感してみるのもおすすめです。渡部社長が語る「真似できない世界観」の一端を感じられると思います。

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プレゼン力

2024-11-18 12:00:00 | 24期のブログリレー

皆さん、こんにちは。

第24期生の森谷です。今回は「プレゼン力」について書いてみたいと思います。

10月の稼プロ!「伝わるプレゼンテーション」の講義の中で、富岡講師より『世界を動かすプレゼン力』(ニック・バーリー氏)という書籍をご紹介いただきました。早速Amazonで購入して読んでみました。

そもそもニック・バーリー氏とは、東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会の戦略コンサルタントだった方です。2012年ロンドン、2016年リオ・デ・ジャネイロ、2021年東京、と3回連続して五輪招致の勝利に導いた「五輪招致の請負人」です。

この書籍の前半では、2013年9月のIOC委員会での東京チーム8人による最終プレゼンの解説が記載されています。YouTubeにて最終プレゼンの映像を視聴したのですが、そこで印象に残った3人の方のプレゼンを紹介します。

まず1人目は、一番目のプレゼンター・佐藤真海さん(現:谷真海さん)(パラトライアスロン選手)です。スピーチの全体を通して、佐藤さんの笑顔が非常に素敵でした。大学生の時に癌で自分の足をなくしたことを話すシーンでは、話すスピードを抑え、言葉を句切り、悲しみに満ちた表情で話をします。顔の表情・話のスピードに緩急があり、トップバッターとしては最高でした。

2人目は、太田雄貴さん(フェンシング選手)です。太田さんのスピーチは「想像してみてください」から始まります。その後に、東京オリンピックが実現した場合の選手の目線から見える3つのシーンが述べられます。会場のスクリーンに映し出される東京のウォーターフロント等の画像との相乗効果もあり、非常に記憶に残る言葉でした。

最後の3人目は、竹田恆和さん(招致委員会理事長)です。スピーチの途中 断定調の言葉で「(五輪開催地として)東京に投票してください。それは・・・」と3回繰り返すシーンがあります。ボリュームを抑えた声でゆっくりと始め、次第に声のボリュームを上げていきます。溢れ出る自信も伝わってきて、こんなプレゼンをされたら間違いなく東京に投票したくなるはずです。

書籍の後半では、プレゼンを成功に導く7つの戦略が記載されていますが、私が気になった3つの戦略を紹介します。

まず「Do The Math(まずは数字から)」です。ここでは、「プレゼンに際して自分に与えられた条件を理解する」ことの重要性が述べられています。具体的には、自分に与えられた時間が何分かを確認すること、「一人の人が話し続けて聴衆が集中力を失わない時間はせいぜい5分」であるとして、スピーチの時間配分を考えることです。

次に、「Make An Impact(インパクトを演出する)」です。具体的には、プレゼンのオープニングでインパクトを与え聴衆の興味を引くこと、「レス・イズ・モア(少ないほど良い)」として、シンプルで短い言葉を厳選し、韻を踏みつつ重ねるように言うことです。また、「パワー・オブ・スリー」は人の記憶に残りやすい数字であると重要性を訴えています。

最後に、「Perform(パフォーマンス)」です。具体的には、笑顔が一番大切なパフォーマンスであること、プレゼン能力は天性のものではなく学べる技術であるので何度でも練習することです。また、練習を重ねることで自信につながること、その自信によって聴衆の心を動かす効果があることです。

来年3月には15分間プレゼンの機会がありますが、富岡講師の講義や、書籍で学んだ事を活かし、しっかり練習してプレゼン力を磨いていきたいと思います。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

第24期生 森谷

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先達・先輩から学んだこと(第3回)~営業は確率論

2024-11-17 12:00:00 | 事務局からのメッセージ

事務局の大井秀人(20期)です。

今期の勝手連載、「先達・先輩から学んだこと」の第3回です。

前回までは新入社員の頃の経験談でしたが、今回は、少し時が進み30歳前後のことを書きたいと思います。当時の私は、シミュレーション技術者として入社し5年、自分で言うのも何ですがエンジニアとして油がのってきました。そんな中、30歳のときに転機が訪れます。2000年前後のITバブルの波で、研究所のシミュレーション技術をソフトウェアにし外販事業にするというプロジェクトが立ち上がりました。そちらに異動になりました。

ちなみに前回のブログはこちら。
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視点のルーツをまとめる(第1回)
新人のときに学んだ基本動作(第2回)
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その商品は、1000万円もする樹脂成形シミュレーションという専門性の高いソフトウェア。お客様も、自動車や電機関連メーカーの開発部門と限られます。一方、立ち上がった新事業部署は技術者集団で、ソフトウェアを作れても売り方がわかりません。しかも、問合せがあった見込み顧客、全部を受注したらやっと予算達成みたいな厳しい状況です。

そんな状況ですので、すべての見込み客に部署挙げて全力対応です。投入労力も相当なもの。ベンチマークというタダ働きを強いられることも多く疲労感は相当で、失注したときの喪失感は半端ないものでした。そんなとき、ITベンダーから営業マネージャーが転職してきました。私は何故かその方に気に入られ、技術担当としてよく同行営業していました。当時の自分には想像もつかなかった営業の方法を目の当たりにしました。その経験から学んだ3つのポイントをご紹介します。

1.営業は確率論だ

「すべての見込み顧客に全力で対応する必要はないです」彼がまず提案したのは、この考え方でした。買う確率が低い顧客に大きな労力を割くのは非効率だというのです。彼は、顧客を次の3つに分類して対応しました。

  • 潜在顧客:まだ具体的なニーズが顕在化していないお客様
  • 見込み顧客:数年以内に購入の可能性があるお客様
  • 今期購入が見込める顧客:早期の対応が必要なお客様

さらに、各層に対して「客数 × 単価 × 購入確率」で売上計画を立てる手法を使っていました。このアプローチは、営業を数値で捉える点が新鮮で、非常に科学的で効率的に見えました。

2.キーマンを見極める

ある日の営業後、彼が私に謝ってきたことがありました。「こんなお客様のところに技術者を連れて行ってしまい、申し訳ない」と。その理由に驚きました。

その担当者には、予算の決定権も、決定権者への影響力もないというのです。キーマンに接触しない限り、受注につながる可能性は低いというわけです。また、技術者は開発業務が本分であり、営業同行に時間を割くべきではない、という考えにも感銘を受けました。

ちなみに全くの私見ですが、経験的にもっとも受注につながりやすいのは、課長昇進が近く、部長層に影響力を持つ係長級の方ではないかと感じています。

3.予算を確認しろ

商談の初期段階で「予算の確保状況」を確認するのも、当時は驚きました。もし今期の予算が確保されていなければ、当座のリソース投入は控え、長期的な関係構築に切り替えるのです。さらに、次期予算を確保してもらうために、会計年度を見据えた営業提案を早い段階(8月頃から)で始めていました。顧客の会計サイクルに合わせて動く営業スタイルは、当時の私にとって大きな発見でした。

これらの気づきは、今振り返るとどれも基本的なことですが、知らなければ多くの無駄が生じていたはずです。技術者としてキャリアの初期に「営業は確率」「キーマンを見極める」「会計年度の感覚を持つ」という考え方を学べたのは、私にとって大きな資産となったように思います。

次回は、「経営の神様」が創った会社に転職して感じたことをお話ししたいと思います。

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バーニング・プラットフォームから管理会計プラットフォームへ

2024-11-16 12:00:00 | 24期のブログリレー

こんにちは!

稼プロ!24期生の松田です。

「バーニング・プラットフォーム(燃え盛る足場)」というメタファー(暗喩)をご存じの方も多いかもしれません。私は最近、ある講義でこの言葉を初めて耳にしました。このメタファーは、1988年にノルウェーの石油掘削プラットフォームで発生した火災による大惨事に由来しています。本稿では、このメタファーから得られる教訓を、日本の中小企業が置かれた現状に重ねて考察してみたいと思います。そして、私が中小企業診断士として今後取り組んでいきたい「戦うための管理会計プラットフォーム」についてもご紹介します。

バーニング・プラットフォームの悲劇

この大火災事故は、北海の海上50mに位置する石油掘削プラットフォームで発生しました。メンテナンス作業中に起きたガス漏れが引火し、大規模な爆発が連鎖的に発生、瞬く間に火災へと発展しました。災は制御不能な勢いで、プラットフォーム全体に広がり、爆発の衝撃で構造物が損壊。露出した燃料がさらに火勢を強め、悪循環を引き起こしました。急速に広がる炎によってプラットフォームの温度は急上昇し、毒性のある黒煙が作業員たちの逃げ場を奪います。そこにとどまれば「焼け死ぬ」という恐怖に直面した作業員たちは、パニック状態の中で孤独な戦いを余儀なくされました。

究極の二択

視界には北海の冷たい海面がちらついていたことでしょう。しかし、海面までの高さ50mは、飛び込むという選択は非常に危険で無謀でした。さらに、爆発の影響で散乱した鋼鉄の破片が海面を覆い、水温も極めて低かったため、決断を鈍らせました。飛び込めば凍え死ぬ可能性もあり、助かる保証はどこにもありませんでした。作業員たちは「とどまって確実に死ぬ」か、「飛び込んで生き延びる可能性に賭ける」かの究極の二択を迫られました。結果として、229人の作業員のうち、リスクを承知で飛び込んだ62人だけが生き延びることができたのです。

一瞬の判断ミスが生死の分かれ目

とどまった作業員たちは、「逃げ道があるかもしれない」「鎮火される可能性もある」と高をくくり、状況を見守る決断をしたのかもしれません。あるいは、いつものように「消火システムが作動する」「消防隊や他の救援が駆けつける」といったわずかな希望にすがり、様子をうかがっていた可能性もあります。しかし、この火災では消火システムの一部が損傷し、機能しなかったことが判明しています。その結果、「とどまれば確実に火に包まれる」と認識するまでのわずかな数分が、致命的な判断ミスとなりました。作業員たちは、数分後に、まさか自分がプラットフォーム上で命を落とすとは思っていなかったでしょう。

現状維持バイアスの影響

この事例で命を落とした作業員たちは、現状維持バイアスの影響を受けていた可能性があると考えられています。現状維持バイアスとは、差し迫った危機を過小評価し、慣れ親しんだ現状にとどまろうとする心理的傾向を指します。このバイアスを助長した要因として、急激に顕在化したリスクが作業員たちを危機的な状態に追い込み、パニックの中で「飛び込む」という選択肢のリスクと効果を咄嗟に判断できなかったことがあげられます。その結果、一歩踏み出す勇気を出せず、バーニング・プラットフォーム(現状)にとどまる理由を模索しているうちに、命を落としてしまいました。

中小企業の現状もバーニング・プラットフォーム?

では、中小企業を取り巻く現状はどうでしょうか。コロナ禍を経て、多くの中小企業は、急激な顧客ニーズの変化への対応遅れによる業績悪化や過剰債務に加え、人材不足、後継者不在、賃上げ圧力や物価高騰、そして金利上昇など、複数の深刻な問題に直面しています。まさに「バーニング・プラットフォーム」のような状況であり、リスクはすでに顕在化し、持続可能性を脅かされているといっても過言ではないでしょう。このまま何も手を打たなければ、倒産や休廃業といった避けがたい結末に至る危険性が高まっています。

見える化で気づきを促す管理会計プラットフォーム

しかし、多くの中小企業は日々の業務に追われ、リスクの兆候に気づかないまま見過ごしてしまい、その結果、リスクが現実化し、危機的な状況に陥っていることが少なくありません。その原因の一つは、多くの中小企業の社長が売上を感覚的に把握している一方で、原価やキャッシュフローを適時・的確に管理できていない点にあります。ある金融機関の担当者も、コロナ禍での積極的な金融支援が終了し、状況が一変した今、多くの社長が自社の経営状況を十分に把握できていない現実を嘆いていました。

現在、金融機関は経営改善・事業再生支援へと重点を移しつつあります。そんな中、制度会計上の財務諸表の形式では、社長や金融機関が本当に必要とする情報を適時・的確に把握することが難しいのが実情です。これは制度会計の限界であり、経営状況の見える化が十分に機能しているとはいえません。だからこそ、この厳しい時代を生き抜くには、管理会計のさらなる工夫に大きな可能性があると考えています。

中小企業が究極の二択に追い込まれてからでは手遅れです。その前に。私は管理会計を改善し、経営状況の見える化を実現するお手伝いをすることで、中小企業の社長を支援したいと考えています。そのため、簡便かつ低コストの管理会計プラットフォームの設計・開発・改善を、私のライフワークとして継続的に取り組んでいく所存です。

選択肢を提示して決断を後押しする管理会計プラットフォーム

このプラットフォームを活用することで、社長が経営状況を数値(共通言語)で把握できるようになり、その情報を社内で共有することで、コミュニケーションが活性化します。これにより、社内の一体感が高まり、連携が強化されます。そして、外部環境の変化によるリスクが顕在化する前に、現状を打破し、必要な変革を受け入れる意欲が高まり、次の一歩を踏み出す勇気につながると考えています。

さらに、このプラットフォームで、次の打ち手についてリスクと効果をシミュレーションしながら、社長と一緒に検討していきたいと考えています。その際、松竹梅(Good-Better-Best)の3つの選択肢に絞り込み、事前に合意しておくことで、社長に心理的な余裕を与え、より的確な意思決定をサポートできると考えています。この「マジックスリー」という心理的アプローチは、選択肢を3つに絞ることで迷いを防ぎ、印象に残りやすくする効果があります。

また、事前に社長のリスクに対する考え方(リスク選好度)も確認しておきたいと思います。これにより、究極の二択に追い込まれる前に、危機(バーニング・プラットフォーム)を未然に防ぎ、リスクと効果を仮説検証可能な3つの選択肢から、状況に応じて迅速かつ柔軟に決断できるようになると考えています。

私は、この管理会計プラットフォームのさらなる改良が今後の経営改善・事業再生支援の重要な基盤となり、経営革新の第一歩となると考えています。このプラットフォームで中小企業がこの厳しい経営環境を乗り越えるためのサポートを全力で続けてまいる所存です。

 

 

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