照る日曇る日第1642回
山上たつひこ、いしかわじゅん、村上知彦、中野晴行、江口寿史の選者たちが選んだのは、手塚治虫、松本正彦、平田弘史、白戸三平、さいとう・たかお、石川球太、つげ義春、青柳祐介、池上遼一の珠玉の名篇だが、おらっちはつげ義春29歳の作品「海辺の叙景」に感嘆。とある田舎に海水浴にやって来た男女の出会いを描く淡々と描く短編だ。
そして雨降る海をクロールで泳いでいる男を浜辺で傘をさし「いい感じよ」といいながら見ている女の見開きで水のような物語が突如断ち切られるようにして終る時、その淡々がこの世のものではない以異界の光景のように現前し、ぞくぞくさせられる。
なお本シリーズは、選者に女性が一人も入っていないこと、全6冊の選集の大半が男性の作品であることから非難を浴び、急遽「少年青年漫画編」なるサブタイトルを添加することになったそうだが、いかにもジェンダー平等の理念が身に添わぬ昔ながらの出版社の古い体質を示しているようだ。
退けるメルケルさんを輸入して党首に据えれば野党勝つらむ 蝶人