あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

主婦の友社版「誰もが泣いて喜ぶ愛と感動の冠婚葬祭その他諸々挨拶&スピーチ実例集No.90」

2021-10-29 14:06:14 | Weblog

蝶人狂言綺語&バガテル―そんな私のここだけの話第420回

 

○学生時代の友人の還暦を祝うスピーチ

 

本日はおめでたい会にお招きいただき有難うございます。

わたくし、須藤君とは高校、大学時代からの友人の田中と申します。*1

 

大学ではおよそ1年半の間、4畳半の狭い汚いアパートでいっしょに下宿しておりました。そして朝になりますと二人とも確かに大学には出かけてゆくのですが、授業には試験日以外は出席せず、校門のお隣にありました麻雀大学に連日通いつめ、遂に斯界のプロからも一目置かれるほどの高級中国文化技術を獲得したような次第であります。

 

その結果、本来4年間で卒業するところ、須藤君もわたくしもなんと6年かかって大学を卒業し、大器晩成の言葉を信じつつ、ゆっくりと社会に巣立っていった次第であります。*2

 

須藤君はその頃から空海、法然、親鸞、日蓮などの仏教の典籍に親しまれ、わけても「利他」の教えに共感共鳴されること切なるものがありました。*3

 

そして当時、就職のあても無くマージャン暮らしに明け暮れていたわたくしのために格好な会社を探し出し、無理矢理願書を出させ、下宿で眠り込んでいるわたくしをたたき起こして入社試験を受けさせ、最終的に須藤君はじめ60名の志願者が落っこちた入社試験に、なんとわたくしだけが合格できるようにしてくださいました。

 

須藤さんはたったひとり合格したわたくしを心から祝福してくれました。これを利他主義の完璧な実践といわずになんというのでしょうか。彼はわたくしの生涯の恩人です。

 

須藤さんの利他主義の恩恵を被ったのは、日本人のわたくしだけではありません。外交官となられてからの須藤さんは、国連での平和活動に挺身され、アジア・アフリカ諸国の恵まれない子供達の救済に力を尽くされていることは皆さまご承知の通りであります。

 

本日、その須藤さんが還暦を迎えられました。ここに改めて、過ぎし日のご恩情に対しお礼申し上げるとともに、どうか須藤さんがくれぐれも健康に留意され、これからも国際的な活躍を続けられますよう祈念いたしまして、本日のお祝いの言葉とさせていただきます。

 

○アドバイス

1)出席者が多く、いろいろな立場の人が混在している場合には、主人公と自分との関係がよく分かるような話題を選ぶ。

2)通り一遍のあいさつに終わらせないよう、主人公の人柄、魅力が浮かび上がるような話題を選ぶ。

3)スピーチ原稿は何度か手を入れ、事前にしゃべってみて、語義・語調・リズムが不自然にならないようチェックする。このセンテンスでは語尾がシ行で終わって韻を踏んでいるために発音しやすい。

4)原稿が完成したら全文を暗記し、何回かリハーサルを行う。

5)その際、自分がスピーチをする姿をビデオに撮って問題点を修正できればベストである。

 

  「マイナンバーカードはダメよ」と明記する岸本歯科は立派な歯医者 蝶人

 

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