あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

川端康成著「伊豆の踊子・禽獣ほか」を読んで

2021-10-18 16:16:09 | Weblog

照る日曇る日第1649回
ちくま文庫の「教科書で読む名作」と銘打たれたセレクションである。
「伊豆の踊子」を皮きりに「禽獣」「日向」「バッタと鈴虫」「油」「雨傘」「末期の眼」「ざくろ」「哀愁」「しぐれ」「弓浦市」「並木」の12の短編が陸続と並んでおり、最後は三島由紀夫選手の超行き届いた解説「永遠の旅人」で幕を閉じるという素敵なコンピr-ションだ。
「伊豆の踊子」は分かるが、作者自身が大嫌いと公言している冷酷無惨な「禽獣」や生を死人の視点から見下ろす「末期の眼」を高校生に読ませる数研出版と友朋堂、清水書院って、いったい何を考えているんだろうね。
若い時からこおゆうクールな世界観に馴染ませておけば世に出た時に役立つという料簡なのか?
たった34行の掌編ながら一期の思い出に写真館で記念写真を撮る少年少女の恥じらいと別れを描いた「雨傘」こそは、川端選手がその本領を発揮した傑作中の傑作である。
わいらあ「世界中のノーベル賞作家の誰がこれを書けるか!」と鎌倉の田舎の二階で叫びたいずら。

 五十五の息子と喜寿の父親が手つなぎ歩く神無月かな 蝶人


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