三浦淳史著「英国音楽大全」を読んで
照る日曇る日 第1866回
昔懐かし三浦選手のイギリス音楽にかんするエッセイ、評論、楽曲解説を網羅した、嬉し楽しのどっちゃり分厚い読み物です。
むかし音楽之友社から出ている「レコード芸術」という骨董雑誌があって、(今でも細々と続いているようですが)、小生はそこに掲載される、この三浦淳史や吉田秀和や宇野功芳の「銘文」を読むのが楽しみで、時々本屋で買ったりしていたのです。
文は人なり、とは誠に至言でありまして、「レコード芸術」には如上の3氏以外にも数多くの評論家が執筆していましたが、「銘文家」はただの一人もおりませなんだ。
あだしごとはさておき、わたくしはこの三浦選手のお陰で、ディーリアス、エルガー、ブリテンをはじめとする英国クラシック音楽の魅惑の世界に導かれ、ビーチャム指揮ロイヤル・フィルやバルビローリ指揮ハレ管のレコードなどを買い集め、英国世紀末詩人ダウスンの絶唱「シナラ」に惹かれることになったのでした。
また三浦選手は、英国の作曲家バターワースを論じながら1978年10月にシカゴでバターワースの「イギリス田園詩曲」を振った名指揮者カルロス・クライバーに触れ、
「シカゴ交響楽団との「ブラ2」の終曲のリハーサルで、カルロス・クライバーは真面目くさった団員たちに「君たちはいつもほほえまないの?」と問うて、本番では彼が求めている「嬉びの感情」を手に入れることができた」
いう短いこぼれ話を引用していますが、それは彼がかねて「タイム誌」を愛読していたからなんですね。
7人の仲間と落ちてゴミ箱の周りを飾る椿の花 蝶人