「夢は第二の人世である」或いは「五臓六腑の疲れである」第122回
西暦2022年霜月蝶人酔生夢死
日本リーグの決戦で、苦杯をなめ絵続けるヤクルトの高津監督の采配振りに業を煮やして、落語の「頭山」の原っぱで野球をしていた草野球チ-ムの監督が、「おらっちが替わりにやるぞ」と申し出たのだが、却下されてしまった。11/1
町内会のファシストどもが、みな胴巻の下に「はらはら爆弾」を巻いているので、「オラオラ,おめえたち命を粗末にするな。早まったことぉするんじゃないぞォ」と警告したにもかかわらず、彼奴等は、次々にダイナマイトに蚊取り線香で点火して、自爆していった。11/2
うんかの如く押し寄せる岡っ引きをせせら笑いながら、怪盗ルビーは、「もしおいらが天下を盗ったら、おめえら全部が仕合せになる世の中にしてやれたんだがな」と、述懐したのよ。11/3
その名を小石川という男がいたが、なにもかもがうまくいかないので、思い切って小安川に変えてみたら、とたんに運が向いてきて、すべてがうまくいくようになったそうだ。11/4
10名の狙撃兵を率いたおらっちが、「ええか、敵の指揮官を狙うんだ」と声を枯らしていたら、突如、大音響とともに巨大爆弾が飛び込んできて、大爆発し、生き残ったのは、のびぶいっちゃんとひとはるちゃんだけだった。11/5
銀座電通の傍のサテンで、アセイさんが、「やっぱワンサカ娘だね。あれから全てが始まったんだね」と回顧しているので、「やっぱ偉かったのは、イマイさんでしたね」と言うと、深く頷いたので、「作詞もイマイさんでしょ?」と訊ねて顔を見ると、アセイさんの影も形も無かった。11/6
目を見開くと、アコーディオンが緑の蛇腹をサッとくねらせたので、パッと目を閉じると、何も見えなくなった。11/7
アソウの別荘と噂されているその隠れ家には、稀代の悪党共が蟠踞していて、一朝有事の際には、直ちに出撃して、どえらい凶事を為すのだった。11/8
神田小川町の交差点で、小学館のナカムラさんと、ぱったり出くわしたので、積もる四方山噺をしたのだが、おらっちは「宝籤は必ずしも当たらない」という噺をしたので、ナカムラさんは、呆れ顔だったな。11/9
おらっちが、いつもの砂洲で魚突きをしていたら、突然、町内会の連中が大勢現れて、大宴会が始まったので、ほうほうのていで、引きあげたのよ。11/10
クサモリカヨという名のインドネシア人が、ジャカルタに家族を残して来日していたが、マスコミに登場して、次第に有名な存在になったので、邦名を「草森嘉代」と名乗り、「あたいは、もうジャカルタには戻らないよ」と放言したそうだ。11/11
私はようやっと故郷に錦を飾ったつもりでいたのだが、当局に対する警戒を解かず、彼らが提供する食料や飲料水にはけっして口をつかなかった。彼らは折りあらば私を逮捕しようとしているのだ。11/12
「長い物には巻かれよ」というスローガンが、時代遅れになったというので、今度は「短いことは、いいことだ」という、昔聞いたことがあるような掛け言葉が一大トレンドになり、なんと半世紀ぶりに、ミニスカートが流行するようになったずら。11/13
戦は我々の村にまで及んできたが、この村に生まれ育ったおらっちは、このあたりの地形は隅々まで把握しているので、有利に戦うことができたのよ。11/14
我が家のすぐ隣に、新社会主義国の住民が引っ越してきたのだが、朝から晩まで働かずに、ゴロゴロごしながら飲み食いしているので、羨ましいような、心配なような、複雑な心境だ。11/15
おらっちは、その男のバーズカ砲で撃ち殺される寸前に、味方がそいつをバーズカ砲で撃ち殺してくれたので、危うく命を救われたのよ。11/16
終戦まぢかで明日講和が結ばれるというその前夜に、20人の味方が密かに虐殺されちまった。11/17
そのソープオペラのあらすじというのは、こうだった。1年生、2年生、3年生の友人たちが、国王の圧政に抗して武装蜂起したが、鉄の軍隊によって、あっという間に殲滅されちまった。11/18
江戸城急襲の下手人たちが公開処刑されるというので、広場に通じる道は、朝から車馬や駕籠や盥に乗った武士や町人たちで、犇めき合っていた。11/19
あと一歩で勝利を逃したチームの敗北の原因が、タカツ監督の大不振リリーフエース。マクガフ起用の大失敗にあることを熟知していたおらっちは、彼が取ろうとしたボールを握って離さず、とうとう9回まで無失点で完投して、貴重な逆転勝利に貢献したのだった。1/20
怖い怖いお化け屋敷から、ようやっと逃げ出してきたが、あれは、比叡山のお化け屋敷より本格的で、どこかバタ臭かった。11/21
セイさんが、フルカワちゃんと、横浜の山下の埠頭から大航海に出るのだが、なぜか胸騒ぎがするというので「そんなら止めなさいよ」と助言したが、その時には、もうバイカル号は桟橋を離れていた。11/22
私は、前世では魚だった。その頃は、あたりの魚たちを絞め殺して得意になていたのだが、人間になってからは、そーゆー事が出来なくなったので、いささか寂しいのである。11/22
専制君主のおらっちは、妙齢の処女をそれぞれ100万と170万で購入したが、何で70万の差をつけたのか、買い入れた2人をどうするつもりなのか、自分でも分かっていなかった。11/23
モザールの「フィガロの結婚」4幕の大詰めになったところで、決めの許しを乞うはずのアルマヴィーラ伯爵が何故か居なくなってしまった。伯爵夫人のロジーナが、怒り狂って泣き喚くので、おらっちは、指揮棒を放り出して、懸命に宥めているところ。11/23
とうとう内戦が始まったので、急いで郷里に帰省すると、割と近い所にいるタクちゃん一家がやってきたので、みんなで、紅白両派の戦いを、茶の間のテレビで見物しました。11/23
静岡県の戦争委員会では、かの村田投手の指導を受けて、成人男子の全員がマサカリで武装し、押し寄せる敵兵を、マサカリ殺法で斬り殺す訓練を施しているそうだ。11/24
東京でも内戦が始まったので、愛人と示し合わせて上野で落ちあって、逃亡しようと思っていたんだが、いざ会ってみると、昨日見た「火口のふたり」の残像に刺激されて、近くの安ホテルにしけこんで、1週間やりにやりまくったのであったあ。11/24
4時45分。久し振りに心臓が痛くなってきたので、「ああこいつは、いつもの狭心症の発作だな、1波、2波を含めて、5分もすれば痛みは無くなるはずだから、ニトロは飲まなくてもいいな。それにこれは夢なんだから」と安心していたら、本当の発作だったので、驚いた。11/25
えらくハイソの家族と、等々力渓谷にハイキングに来ていたんだが、夕方になり、ハイソの家付きのハイソ車と、その専用運転手と顔を合わせるのが厭なので、我が家だけお先に失礼したのよ。11/25
ムトウさんと娘さんが、我が家にやってきたのだが、2人ともそっくりな顔つきで、顔中そばかすだらけなので、驚いた。11/25
アメリカでの暮らしに少し慣れた頃、突然、事件に巻き込まれた。親しくなった隣の部屋の住人、穏健な共和党の支持者だったが、ライフルで武装して、「今からトランプを殺しに行くんだが、一緒に行かないか?」というのである。11/25
キガイユのジムの女、スムケイの女は、カンリュウのあらくれ男どもの下劣な視線を浴びせ掛けられながらも、プライドを捨てず、毅然とした態度で激しく見返していた。11/26
小さな町の小さな文化会館を出ようとしたら、女もついてくる。それからどんどん歩きに歩くと大阪駅に着いたので、彼女をハグしてからチュウしたんやが、あの限りなくやわらかな唇の感傷は、いまだに忘れられない。11/26
ユニクロの下着デレクター、リター・ネルソン氏の知遇を得たので、その担当分野の新しい企画を提案することになり、ホームウェア仕様の下着とか、ポップなイラストを施した下着などのアイデアを考えているのよ。11/27
若き日のおらっちなので、6日間セクスしたのだが、安息日の今日も、7日間連続のセクスをしたのでした。11/28
玩具会社に勤務する私は、人事&管理体制上でさまざまな問題が起こるのは承知のうえで、部下たちを作家主義のクリエーターに養成しようと決意したのであったあ。11/28
一日中敵のミサイル攻撃に堪えるしかない鬱屈した日々の中で、我々の唯一の気晴らしは、敵兵の遺体を犬にたっぷり喰わせてやることだけだった。11/29
道楽息子の私は、昔懐かしいクラシック音楽専門のレコードを開店し、誰一人来ない店で、朝から晩までSPレコードを聴き呆けているうちに、親父から貰った遺産をことごとく失ってしまった。11/30
マスクするマスクをしないどちらかをお上に決めてもらうオレたち 蝶人