中沢啓治「はだしのゲン第1巻」を読んで
照る日曇る日 第1869回
広島で被爆した作者が書き続けた自伝的な戦争漫画の第1巻である。
ますは主人公ゲンの5人家族の生計が下駄の絵柄制作で成り立っているという設定にいたく共鳴するのは、かつて郷里のわが家が同じ下駄屋を営んでいたからだ。
が、それにしても漫画全体が、現今とは180度正反対の反権力、反体制的なトーンで威風堂々と進行していくことに驚き、今更のように異常なほどの感銘を覚える。
この威風堂々たるトーン、それはもう2度と戦争に加担してはならないという堅い決意のもとで再出発した「戦後民主主義」の、初々しくも、雄々しいあの足音だったのだ。
日韓の首脳会談にはそっぽ向き大谷のバントに総立ちとなる 蝶人