あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

杉﨑恒夫歌集「食卓の音楽」を読んで

2023-10-21 13:01:53 | Weblog

 

照る日曇る日 第1971回

 

まずタイトルがいい。

 

 つつかれてヨーグルトに沈む苺 やさしき死などあるはずもなく

 

 曇りたる一枚の海見えながら頭より噛る鳩のサブレー

 

次に詠まれている歌がいい。

 

 どどと吹く風の又三郎むさしの野の雑木林にどんぐりこぼす

 

 トレパンの女子学生ら輪をなして座れば冬の地を浄くす

 

三番目に、三鷹の天体観測所という、この人の職業がいい。

 

 立ち読みせしサン=テグジュベリのひと言が心に残り本屋をいずる

 

 少しさむい春の夜だからワグナーのトランペット群ぎんいろがよい

 

  30分受付を増やして待っている君を待たせて電話を待ってる 蝶人

コメント
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