照る日曇る日 第1971回
まずタイトルがいい。
つつかれてヨーグルトに沈む苺 やさしき死などあるはずもなく
曇りたる一枚の海見えながら頭より噛る鳩のサブレー
次に詠まれている歌がいい。
どどと吹く風の又三郎むさしの野の雑木林にどんぐりこぼす
トレパンの女子学生ら輪をなして座れば冬の地を浄くす
三番目に、三鷹の天体観測所という、この人の職業がいい。
立ち読みせしサン=テグジュベリのひと言が心に残り本屋をいずる
少しさむい春の夜だからワグナーのトランペット群ぎんいろがよい
30分受付を増やして待っている君を待たせて電話を待ってる 蝶人