The Filth And The Fury : A Sex Pistols Film / Directed by Julian Temple
2000年公開のジュリアン・テンプル(Julian Temple)監督作のセックスピストルズ(The Sex Pistols)のドキュメンタリー映画。ただ純粋にドキュメンタリー映像だけでなく、昔の映画(Richard Ⅲ)や監督自身が以前にピストルズをマネージャーのマルコム・マクラレンの視点から捉えたフィクション映画「グレート・ロックンロール・スウィンドル(The Great Rock'n' Roll Swindle)」のシーンも挿入されている。日本では「No Future ノーフューチャー」とう邦題がつけられた。The Filth(堕落)、The Fury(憤激)では分かりにくかったのかな。確かデイリーミラーの有名な記事なんだけど。
白眉なのはやはり現在のメンバーにインタビューをしているところ。なぜか逆光映像で各人の表情は終始うかがい知ることが出来ない。この演出は特に効果的とも思えないが…。どちらにせよ前記の映画では徹底的に貶められていたメンバーが自分の言葉で語るのは何よりも重い。特に真新しいエピソードは見当たらないが、メンバー視点だとかくも印象が違うものか。いつだってあからさまに正直なジョニー(Johnny Rotten=John Lydon)の冷静な分析は面白い。
シド(Sid Vicious)をどう扱うかによって映画の性格が変わってくると思うが、この映画ではバンドメンバーの一人として割と淡々と事実を述べているように見受けられる。親友だったジョニーの思わぬシーンもあり、いつもの彼とは違う雰囲気が意外。ここだけは表情が見えない事で想像力が掻き立てられる。
挿入される過去の映画の場面が少々うざったいがシェイクスピアの本場イギリス人には特別な思いとか捉え方があるんだろうか?