A Collection (40th Anniversary Remastered) / The Doors (2011)
あー、もう何回買わされたんだろう。アナログ盤、旧CD盤、リマスター盤、紙ジャケボックス、そしてこの40周年記念リマスター…。ドアーズ(The Doors)のオリジナル・アルバムは6枚のみだけだからまだいいけれど、この他にもボックスやら未発表なんたらを山ほど…。「Alive, She Cried」を発表した80年代に「もう、なんの素材も残っていない」と言っていたのは何だったんだっ、レイ・マンザレク(Ray Manzarek)!
今回の売りは40周年にあたってメンバーとエンジニアのブルース・ボトニック(Bruce Botnick)が新たにリマスターし、大幅に改変を行っている所。曰く、これが本来の姿だとの事だが…。いやいや違う、違う。あくまでも実際に発売された形がオリジナルで、当時出せなかったスタイルならもうそれはまったく別の物だ。もちろん当時のプロデューサー、ポール・ロスチャイルド(Paul Rothchild)はすでに故人だし、今更これが本当だと言われても困ってしまう。こういうのストーンズ(The Rolling Stones)の2002年リマスターでもあったな。ピッチを変えたり、曲間をつまんだり。
実際に聴いてみると楽器の定位が変わっていたり、聴いた事のない音が加わっていたりと結構な改変の跡がみられる。ヘッドホンとかではあまり聴かないので定位の変化には疎いが、聴いた事のないヴァースが出てくるとビックリ。「The End」の禁止語句が出現した「地獄の黙示録」サントラには興奮したが、もうこうなってくると、頼むから元に戻してくれ、と言いたくなる。確かに音の分離が凄まじく良いし、臨場感はあるんだけれど、もう自分の知っているドアーズの音ではなくなっているような気がする。
それでもこの廉価盤リマスターボックスは値段という点ではあっ晴れ。新品で購入しても激安。それに一連のボーナス・トラック入り40周年盤紙ジャケを箱に入れたのではなく、オリジナル収録曲のみで入れたのは素晴しい英断だと思う。ずーっと購入を見送っていたが値段に負けてつい買ってしまった。次はオリジナル(発表時)の音とバランスとピッチで各トラックをブラッシュ・アップしたオリジナル発表版リマスターが出るんじゃないか(笑)。
オークションにて購入(¥1,868)