ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

吉例顔見世大歌舞伎 初世松本白鸚三十三回忌追善 「御存鈴ヶ森」「勧進帳」「義経千本桜」 @東京・歌舞伎座

2014年11月21日 | 歌舞伎・文楽

歌舞伎 「御存鈴ヶ森」「勧進帳」「義経千本桜」 (11月14日 東京・歌舞伎座)

上京する機会があったので、日程を繰り合わせて歌舞伎座へ。今回の演目は、「故・松本白鷗追善」とあってか、幸四郎、吉右衛門、菊五郎というそうそうたる顔ぶれ。まだ歌舞伎初心者なので、こういった公演のチケット確保の難易度がどの程度か分からない。観られる日時は決まっているので、発売日を待ってネット購入。ただ、仕事の関係もあって、PCに貼りついている訳にもいかないので、席の選択を「自動」というのにしてしまったのが運の尽き。3階席はとても狭いので、端っこで、広くていいやとOKボタンを押してしまったのだが、選んではいけない席を選んでしまっていた。

ちなみに席番は「3階西の15」。ここは「花道」が完全に死角。 肝心の見得をきるところばかりか、ストーリーで重要な場面がことごとく死角になるという残念な席。「なんでこの席を売るのか…」と恨み節のひとつも出てくるが、あわてた自分が悪い。観念してそれなりに楽しんだ。(1ヵ月近く昼夜公演のある歌舞伎座では特別な日や公演を除いて発売すぐに売り切れ、なんていうことはなさそうな感じです。) みなさん、「3階西の〇×」という席には注意しましょう。

「鈴ヶ森」では菊之助の美しい姿態が印象的。声の通りといい、彼が出てくると舞台がグッと華やかになります。「勧進帳」では染五郎の弁慶が圧巻の演技(初役だそうです)。線が細い印象があるが、この弁慶役では豪放な中に細やかな台詞回しを見せ、とても良かった。ご存じの通り、染五郎の父、幸四郎と吉右衛門は実の兄弟。今回どうしても日程を合わせてまで観たかったのは、同じ舞台での兄弟の共演があったから。現在は屋号が違い、(どちらも立役なので)あまり共演の機会がないと聞いた事があるが、実際のところどうなんだろう(調べていません)。ちなみに今回の勧進帳では富樫が幸四郎、義経が吉右衛門、弁慶が染五郎、太刀持ちが金太郎、と一族三代総出演。「すし屋」では菊五郎の親しみの持てる演技が楽しい。10月にも彼を観たが、笑いを取りつつ、会場をすぐに自分に引き寄せてしまう存在感はさすが。時蔵の、町人を演じながら、実は高貴な方という設定もピッタリはまり役。お里を演じた梅枝の美しさも相変わらず。 

歌舞伎役者ってほぼ1ヵ月のロングラン公演を、たった数日の舞台稽古で作り上げて、また次月に次の演目を、という繰り返しだそうだが、なんてすごいんだろうと思う。少ない時には舞台稽古が1回だけの事もあるそうだ。もちろん公演の中で作り上げて、育てていく部分もあるのだろうが、どういう切り替えをしているんだろう。遊ぶ暇もないと思うのだが、結構遊んでいる人もいるようだし(笑)。東京在住の人はいつでも好きな時に歌舞伎が観られる環境にあって羨ましいなァ。 

一、御存鈴ヶ森(ごぞんじすずがもり)
   
幡随院長兵衛
      松 緑
東海の勘蔵         彦三郎
飛脚早助          権十郎
北海の熊六         團 蔵
白井権八          菊之助
 
二、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
   
武蔵坊弁慶       染五郎
源義経           吉右衛門
亀井六郎        友右衛門
片岡八郎        高麗蔵
駿河次郎        宗之助
常陸坊海尊       錦 吾
太刀持音若       金太郎
富樫左衛門       幸四郎
 
三、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
    すし屋
   
いがみの権太       菊五郎
弥助実は三位中将維盛 時 蔵
お里             梅 枝
梶原の臣           亀 寿
梶原の臣           萬太郎
梶原の臣           巳之助
梶原の臣           隼 人
弥左衛門女房おくら    右之助
若葉の内侍         萬次郎
鮓屋弥左衛門       左團次
梶原平三景時       幸四郎

 

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