歌舞伎 「平成二十六年度 松竹大歌舞伎」 (11月20日・岐阜・羽島市文化センター スカイホール)
嫁と歌舞伎の公演へ。自分は先週の歌舞伎座に続き、2週続けての歌舞伎観劇となる。今回の立役は片岡愛之助。人気TVドラマ出演で今年一気に知名度が上がった旬の役者と言えるだろう。自分はそのTVドラマを見ていないので、どんな役柄だったとかは全然知らないが、嫁はよく知っている様子。対する女形は中村壱太郎(慶応卒だとか)。こちらも売り出し中の若手だ(祖父は人間国宝)。
会場となる羽島市は新幹線の駅があるというくらいで、あまり馴染みの無い場所。その岐阜羽島駅からさほど遠くない場所にある立派なホール。駐車場に車を停め、ホールの中へ。昼公演とあってかおばさま方が多い。席は1階の正面後ろ。前回の悪夢があるだけに、花道は無いにしろ、舞台全体が見渡せる幸せを噛みしめる(笑)。
太閤記物のひとつという「毛谷村(けやむら)」では、愛之助が六助を演じている。他の話と比べて出演者は少なく、人間関係は分かりやすい方なので、簡単な予習だけで話に入っていける。上方歌舞伎のエースとあって、端正な顔立ちといい、立居振る舞いといい、キマッている。正義感が強く、実際に強いという「イイ人」な役柄だけに彼のようなハンサムが演じると非の打ちどころがない。でも意外と声が通っていないような気がしたのは気のせいだろうか。対して壱太郎演じるお園の声の張りの良さが目立つ(お園という役柄もあるのだろう)。女だてらに武道に長けたお園が、許嫁の六助と分かった途端に可愛らしくなるなど、クスッと笑えるところも挟みながら楽しんだ。「団子売(だんごうり)」は純粋に踊りだけなのだが、前幕で新造の夫婦役をやったばかりの2人だけに、まるでその後をみるようで、息の合った踊りが楽しい。
本当はもう一つくらい幕があると満足度が高いが、地方公演だし仕方がない。歌舞伎は豪勢で非現実的な舞台を目にするだけで幸せな気分になれる。今回は続けて観る事が出来たが、次はいつ行けるかな…。
一、彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)
杉坂墓所
毛谷村
毛谷村六助 片岡 愛之助
一味斎娘お園 中村 壱太郎
一味斎後家お幸 上村 吉 弥
微塵弾正実は京極内匠/杣斧右衛門 市川 男女蔵
団子売
杵造 片岡 愛之助
お臼 中村 壱太郎