岐阜市芥見(あくたみ)の願成寺(がんじょうじ)の境内にある国の天然記念物「中将姫誓願桜(ちゅうじょうひめせいがんざくら)」。もちろん桜の季節ではないので葉も落ちて、裸の樹木を見ただけだが、もうすぐ桜の季節なので見てみたいものだ。その寺のすぐ前にある蕎麦の店「せいがん」。店名はもちろん誓願桜にちなんだのだろう。実はこの店、ずっと以前にも来ていて、その時は隣客の紫煙がすごくて蕎麦どころではなく、お陰で蕎麦までいい印象が残っていなかった。久々に入ってみたのは、この店の主人の修業先が東京の名店「神田まつや」で、「ごまそば」を提供していると知ったため。以前食べた蕎麦からは修業先を感じさせるものは無かったけどな、と再訪問してみた。
平屋の店に入ると土間にテーブル席が、奥には座敷がある。席から厨房は見えない造り。以前もテーブル席だったんだけど、灰皿は無かったので禁煙になったのかも。注文したのは「まつや」の品書きにある「ごまそば」。実はまつやでは食べたことなくて、やっぱり先にざるそばだろ、とは分かっていたが頼まずにはいられなかった。しばらくして高杯のような器に蕎麦が盛られて置かれた。猪口にごまつゆが入っている。つゆの味が濃い事は分かっているので、まず瑞々しい蕎麦だけ口に入れてみる。ざらついた食感で噛むのが楽しい旨い蕎麦。こんなに旨かったっけか。思わず置いてあった塩を振りかけて何口か食べてしまった。そしてごまつゆに。胡麻と蕎麦つゆが合わせてあるので甘くて濃い。これに蕎麦をちょこんとつけると、これはこれで旨い。ま、「趣味蕎麦道」に走っている人には邪道だろうが。とろっとした蕎麦湯が湯呑みに入れて置かれたので、ごまつゆを割って飲む。いやぁ、ホッとする風味。外は寒いので温かい蕎麦湯と胡麻つゆの風味の組み合わせで暖まった。
時を置かず、別の日にすぐ訪問。今度は最初から「ざるそば」目当て。ごまそばの時と同じ器に盛られた蕎麦。若い主人が顔を出して、群馬産の蕎麦だと教えてくれた。蕎麦は前回と同様に文句なく旨い。つゆはちょっと甘め。この地方では珍しくないから驚かないが、もう少しキリッとした辛汁だと蕎麦の風味も引き立つ気がするんだけどなァ。こればっかりは好みと地方色だから仕方がない。次は「田舎そば」かな。楽しみ。(勘定は¥どちらも850)
↓ 冬だからか、老木だからか、拡がった枝が支えられている「中将姫誓願桜」
岐阜県岐阜市大洞1-21-11
( せいがんそば 蕎麦せいがん 誓願蕎麦 誓願桜 大洞 岐阜市大洞 おおぼら 芥見 あくたみ )