ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

The London Howlin' Wolf Sessions

2015年03月14日 | ブルーズ

The London Howlin' Wolf Sessions (1971)

チェス・レコーズから発売された企画盤「ザ・ロンドン・ハウリン・ウルフ・セッションズ」。四半世紀前にアナログを買って持っているが、安さに惹かれてつい、CDで買い直してしまった。しかも今はデラックス・エディションが出ているというのに、これは旧盤。だから収録曲もアナログと同じ。懐かしい。60年代のイギリスでは、ストーンズ(The Rolling Stones)やクリーム(Cream)のお陰で、アメリカのチェス・レコーズに所属するようなブルース・アーティストというと神格化されていて、こんな企画盤も作成されたが、本国アメリカでは完全に忘れ去られた音楽で、お粗末な状況だったようだ。何かの本で読んだが、ストーンズやツェッペリン(Led Zeppelin)にパクられて悔しいのでは?という質問にマディ(Muddy Waters)だったかボ(Bo Diddley)だったかが、「あの子らのお陰で陽が当たったけれど、それが無かったらアメリカでは食ってもいけなかった(意訳)」と答えていたのが印象的だった。実際ウソかホントか、1964年にストーンズがシカゴのチェス・スタジオで録音するために建物に入っていくと、マディが天井のペンキ塗りをしていて、荷物の搬入を手伝ってくれたのだそうだ…。

そんなこんなで、ロンドンのオリンピック・スタジオ(当時のストーンズの本拠地)でのこのセッションには超のつく凄いメンバーが集められた。もちろんハウリン・ウルフ(Howlin' Wolf)とギタリストのヒューバート・サムリン(Hubert Sumlin)はセット。それにクラプトン(Eric Clapton)、スティーヴ・ウィンウッド(Steve Winwood)、ビル・ワイマン(Bill Wyman)、チャーリー・ワッツ(Charlie Watts)、イアン・スチュワート(Ian Stewart)など。これに一部でリンゴ・スター(Ringo Starr ※なぜかアナログとこの旧盤CDではノンクレジット)、クラウス・ヴーアマン(Klaus Voormann)が参加、昔はハープでミック(Mick Jagger)が参加しているなんて噂もあったな。多分この辺の詳しい事はデラックス・エディションの解説にでも書いてあるんだろう。つまりこのバンドは、ストーンズとクリーム(&ブラインド・フェイス)とビートルズの混成バンドなのだ!(ちょっと無理があるか…)。

その昔、輸入盤屋(渋谷のタワレコだったか…)で買ったと思うのだが、これのアナログ・レコードを初めて聴いた時は、何だか軽い演奏だなァ、としっくりこなかった覚えがある。ウルフのオリジナルがあまりにもドスが効いているので余計にそう感じたのだろう。色々なものを聴いてきた今では「軽快な」という言葉に置き換える事が出来るんだけれど。チェス・ブルースのレコードを買い集めていた20代の昔の頃よりも、40代の今の方が楽しんで聴ける不思議。さすがに独特な転調のタイミングが難しいのか10は手探り状態だが、バックの若造達は思いのほかいい演奏が出来ている。みんな飛ぶ鳥を落とす勢いでノリにのっていた頃だもんなァ。この5年後に亡くなった時のウルフは享年66歳。独特のダミ声でもっと爺さんなイメージがあるが、なんと今生きている他のメンバー(故イアン・スチュワートを除く)の誰よりも若いのだった。

ブックオフにて購入(¥250)

  • CD (1989/7/26)
  • Disc: 1
  • Format: Import
  • Label: Chess
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