先代は麺類食堂だった岐阜県関市の蕎麦の名店「助六」。よく近くに寄るのだが暖簾が掛かっていないことが多く(タイミングが悪い?)、しばらくぶりの訪問。最近の営業時間と休業日を訊くのを忘れたが、夜営業はやっていないようだ(営業日時は確認してから訪問することをお勧めします)。余談だが、落語好きな主人は近年、自分が(たぶん)プロモーターになって、この地に毎年落語家を呼んでいる。落語好きなら、こんな小さな町の落語会に?と驚くような人も出ていて、その熱心さたるやすごい。この小さな店の中で落語会をやったことも(最近はチケットも手に入りにくいようだ)。
外から様子は分からなかったが、店に入ると案の上、盛況。この日は若い男性のひとり客が目立つ。幸いカウンターは空いていたので腰を下ろして、主人や給仕の奥様と久しぶりに雑談しつつ、この日は「円空なた切り」そばを注文(ちなみに円空仏、円空彫りで有名な僧・円空はこの美濃地方で生まれ、晩年は関市で過ごしたと言われています)。これは何年か振り。「円空さん、ひとつ」と注文が入る。
しばらくして盆の上にのったなた切りそばが置かれる。そばは舟形の器にのっていて、葱、おろしの他に、味噌と塩も。まず幅の広いそばを手繰る。ごつごつとした野趣溢れる食感と香り。それでもボソボソではなくしなやかなのがすごい。さすがに啜るわけにはいかないが、口に含んだ時の存在感は抜群。塩、味噌をそれぞれ試したのち、つゆに漬けていただいた。つゆは辛汁。この地方で定番のたまり醤油由来の甘さもなく、きりっとしている。旨い。どの食べ方でも旨いが、味噌が気に入ったなァ。久しぶりだったからか以前は少ないなと感じた量もちょうど良かった。たぶん自分の適量が減ったのだろう(寂しい…)。食べ終わる頃にも続々と客が入って来る。席を譲らないと。勘定をしてもらい、主人の「おおきに!」との声を背中に受けながら店を出た。(勘定は¥900)
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そばきり 萬屋町 助六
岐阜県関市本町8丁目27
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