名古屋市の繁華街、錦(にしき)の商業ビルが立ち並ぶ場所に、ひっそりと店を構える和菓子の「川口屋」。創業は元禄年間(江戸前期)だというすごい老舗。この近辺は通称「錦三(きんさん)」と呼ばれ、夜ともなると周囲はネオンが煌めく猥雑な街に変わるが、昼前はまだ人通りも少なく落ち着いている。暖簾をくぐって店に入ると、すぐ目の前にガラスケースがあり、上生菓子や干菓子が並んでいる。売り子さんが見当たらないのでじっくりと眺めさせてもらった。こちらの生菓子はお茶席では有名だそうで、この日置いてあった生菓子は、種類は多くなかったが、どれも凛としていて美しい(名古屋は茶道が盛んな土地です)。名前が分からないので奥に声を掛けると、若い売り子さんが出ていらっしゃった。これからまだ行くところがあるので残念ながらいくつもの上生菓子は持ち歩けない。説明してもらった菓子の中から「わらび餅」を選んで購入した。粒餡はすでに売り切れで、こし餡のみとの事。丁寧に包んでもらい、少量なので紙袋は辞退してバッグに入れ、店を出た。
持ち帰ったわらび餅の包みを開ける。紙箱に入っていて大袈裟だなァと思ったが、手に持ってみて納得。摘み上げるととろけそうなほど柔らかいのだ。ふわっとした皮から口に含むときな粉のいい香り。中の餡はしっとりとしていて黒蜜のコクがある。口に入れると食感は儚いが、残るしっかりとした存在感。うわぁ、これは旨いなァ、とため息。甘さの塩梅が素晴らしく、いくつでも食べられそう。次こそはいろいろ詰め合わせて買うぞ。今から楽しみ。(勘定は¥310/個)
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川口屋
愛知県名古屋市中区錦3-13-12
( 錦 にしき 錦三 きんさん かわぐちや わらびもち 蕨餅 うず潮饅頭 道明寺 道明寺粉 林修 林先生 今でしょ )