ハリーの「聴いて食べて呑んで」

日々増殖を続ける音源や、訪問した店、訪れた近代建築などの備忘録

★ (Blackstar) / David Bowie

2016年01月12日 | クラシック・ロック

★(Blackstar) / David Bowie (2016)

レヴューが滞っているCDがまだ山のようにある。でもこのアルバムを先にレヴューしなくてはいけない。デイヴィッド・ボウイ(David Bowie)の最新アルバム「★」(ジャケットには「Blackstar」とは書かれていない)。まだ3日前の彼の69回目の誕生日に発売されたばかりだ。あれほどのロック・アイコンが前アルバム録音時から潔いほどメディアに全く出ることがなくなり、それがあたかも新しい戦略であるかのように神秘性が増し、アルバムのクオリティーも高かったこともあって「歳をとってからこんな風に輝くことが出来るのか」と驚嘆していた。そして短いインターバルでのニュー・アルバムの発表、発売。すごい創作意欲。もう完璧だと思っていた。個人的にはつい昨日、一昨年に発売された3枚組の最新ベスト・アルバムをやっと注文したところ(すでにベスト盤や編集盤はアナログを含めて数えきれないほど持っていが、ただ曲順を味わいたいがために…)。なのに、そんなタイミングで今日、外出先から帰ると嫁に告げられた。「デビッド・ボウイが亡くなったって…」。

 

………。

 

あぁ、そうか…。最初はあっけにとられたが、だんだんと現実が頭に入ってくる。じわじわと悲しみがやってくる。いつかこんな時がやってくるのは分かっていた。ボウイを含む自分の好きなロック・スター達の多くはもうかなりの高齢だ。生きているのが不思議なくらい様々な修羅場をくぐり抜けてきている(ドラッグ、酒を含めて)。いつ逝ってもおかしくないのだ、本当は。でもずっと奇跡が続いていた。初めてボウイを聴いた(見た)のは、小学生の頃、地元のローカルテレビ局で、夕方に時間の穴埋め的になぜかほぼ毎日流されていた1979年の「Lodger」収録のビデオ・クリップ3曲だったか、それとも長兄の持っていた1980年のアルバム「Scary Monsters」だったか(※)。1983年に行った来日公演(名古屋市国際展示場)では当時破格に高いチケット代(¥6,000だったか)にのけぞった。彼のやっている事がつまらなくなり、一時は見限った事もあった(1990年来日頃)。それが1995年の「Outside」の頃からまた好きになり…。(※いま思い出した。長姉が持っていた1978年の2枚組ライヴ・アルバム「Stage」のA面だ。)

「★」は終始落ち着いた雰囲気で展開する。時につぶやくように、時に呻くように。ジャズ・ミュージシャンを起用したと聞いていたが、特にジャズを意識した作風ではなく、あくまでも最近のボウイらしいクールな世界の構築だ。いい意味でまるで何かストーリーがある映画のサントラか、コンセプト・アルバムでも聴いているよう。プロデュースは盟友トニー・ヴィスコンティ(Tony Visconti)。シンプルな音使いだが、アルバムはかなり精緻に作り込まれている。老いて醜態を晒していたのなら何とも思わなかったかもしれないが、アートワークを含めて滅茶苦茶かっこいいのだ、このアルバム。現役感たっぷり。それが悲しい。R.I.P.

↓ 気に入っているボウイの写真 (撮影:鋤田正義・2002)

           David Bowie ★ 1947-2016

 

amazonにて購入(¥1,563)

 

  • CD (2016/1/8)
  • Disc : 1
  • Format: CD, Import
  • Label : Sony
コメント (4)
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