Jamaican Explosion! (MOJO Magazine) / Various Artists (2016)
いつもの英音楽誌「MOJO」の付録CD。2016年7月号はレゲエの前身とも言えるスカ(Ska)、ブルー・ビート(Blue Beat)の15曲を特集。”スカ”と”ブルー・ビート”ってどう違うのかっていうのは難しい問題で自分もよく分かってなくて、はっきりとした説明が出来ない(”Blue Beat”に関してはレーベル名から名付けられただけじゃないかと思うが)。いずれにせよ裏打ちのダウンビートで、実はアメリカ南部からラジオの電波の届くカリブ海に浮かぶ島ジャマイカで、50年代のジャズやR&B、ソウル・ミュージックに影響を受けた新しい音楽。なので誤解している人も多いが、いわゆる民族音楽とはちょっと違う(ナイヤビンギなどそれに近い音楽はまた別の話)。”サウンドシステム”と呼ばれる屋外DJ設備で若者を虜にし、それがレゲエ(Reggae)として発展していく。もちろん中南米の黒人は主に奴隷として連れてこられたアフリカにルーツを持つ人達なので、抑圧の歴史が嘆きや闘争として音楽にも表現されている(もちろんただのラヴソングもあり)。
ここに収録されているのはスカを語るに外せない重要なアーティストが目白押しで、すべて発表時期は1960~62年の黎明期。多くの曲が他のコンピ盤にも採用されている。のちにレゲエのトップ・アーティストとなるジミー・クリフ(Jimmy Cliff)の初々しい最初期の作品12や、70年代後半のスカ・リヴァイヴァル(2トーン・スカ)でスペシャルズ(The Specials)にも参加したトロンボーン奏者、リコ(Rico)の11、その2トーン・スカの代表的なバンド、セレクター(The Selecter)がカヴァーした07も収録されている。自分も昔はアナログでこれらスカのアルバムを何枚も購入したが、80年代半ばにはレアで眺めていただけだった作品も90年代くらいになると再発編集盤などを中心に手に入れ易くなったと記憶する(針飛びには悩まされたが…)。まだまだ素朴な感じのR&Bそのものという曲からダウンビートのエッセンスが抽出されていく過程が垣間見えて興味深い。
01 Laurel Aitken - Bar Tender
02 Prince Buster & The Blue Beats - Independence Song
03 Roland Alphonso - Four Corners Of The World
04 Derrick & Patsy - Housewife's Choice
05 The Folkes Brothers - Oh Carolina
06 Byron Lee And The Dragonaires - Jamaican Rock
07 Leon And Owen & Drumbago All Stars - Murder
08 Azie Lawrence - Jamaican Blues
09 Bell's Group - Kingston 13
10 Winston & Roy With Count Ossie On The African Drums - Babylon Gone
11 Rico - Rico Special
12 Jimmy Cliff - Miss Jamaica
13 Don Drummond - Schooling The Duke
14 Clue J & His Blues Blasters With Vocal By Theophilus Beckford - Easy Snapping
15 Lord Creator - Independent Jamaica
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