さて何を食べようかと思案していた休日の昼。この日は公共交通機関を使って柳ヶ瀬まで来ていたので、鰻なんてどうだろうと西柳ヶ瀬の「田なかや」へ。こちら、店のイーゼル看板にも鰻の他色々な酒肴が載っているので、前から酒が呑める時に入ってみたかったのだ。黄色い暖簾をくぐって中に入ると、まだ店はこれから本格的に始動といった雰囲気で、先客はまだ配膳されていない4人連れの家族2組。土間にテーブル席が4つ程と小上がり席だけなのでテーブル席のひとつに座らせてもらった。上からぶら下がっている裸電球(LEDだけど)の光が昔ながらの鰻屋の雰囲気を醸し出している。
給仕の女将さんにまずは日本酒(剣菱)をお願いする。石油ストーブの上のやかんで燗をつけてくれる。そして袴を履いた徳利で運ばれた。酒肴は沢山あってもまずは鰻関係でと「きも焼」をお願いする。女将さんが調理場に「きも焼出来ますか?」と尋ねてOKが出た。少々時間がかかるとのこと。もちろん承知。木枠のガラス窓で囲われた焼き場では若い衆が蒲焼の準備をしているようだ。そのうちに後客が続々と入ってきてすぐに満席に。自分の前にも相席の男性2人。もちろんすぐに後客の注文が殺到することは目に見えていたので、ゆっくり盃を傾ける方針を急遽変更し、”長っ尻(ながっちり)”は避けてすぐさま表に出ていた”特別ランチメニュー”の「うなぎ丼」をお願いしておいた(後客の注文を聞いていると”ランチ”と言わないと普通の「うなぎ丼」になるようです)。案の定、自分の後の客は何を注文しても「時間がかかりますよ。」と完全に”お預け状態”で何も出てこない。女将さんは少なくとも5組の客に「すいません、いっぱいで。」と断りを入れていた。
しばらく待って「きも焼」が登場。肝に包丁が入れてあり意外と数が多く気持ちが小躍りする。たれでしっかりと焼かれていて焦げ目も少し。でも柔らかく焼かれていて、めっぽう旨い。そして酒を…、至福。目の前の相席客は自分と同じように酒を頼み「きも焼」も頼んでいたが(断られていた…)”お預け中”で申し訳ない(心はニコニコだった・笑)。ゆっくりと「きも焼」をやっつけて更に待ち、やっと「うなぎ丼(※ランチ仕様)」が登場。ちゃんと肝の入った吸物と玉子焼き、そして浅漬が添えられている。なかなか素晴らしい。蓋付きの丼ぶりに入っていて、三河一色産だという鰻は3切れ。じっくりと火が入れられているようで、ふわっとした口当たり。これも旨い。たれは多めで、ご飯の量は酒呑みには丁度いいくらい。痺れるくらいの山椒を振ったりもして美味しくいただいた。席を立った時に焼き場のまな板をチラッと見たが、古い店らしくその場で裂いて焼いている様子。これはまだまだ時間がかかるだろうナ…。本来鰻屋で待つのは当り前のはずだがファスト・フード全盛の昨今ではそうもいかないようで、他の客がかなり焦れているのが分かる。まだ客が入ってくるかもしれないのですぐに勘定してもらい、結局一番に店を出た。(勘定は¥1,500/丼、¥600/きも焼、¥500/酒)
田なかや
岐阜県岐阜市柳ヶ瀬通5-13
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