変形性股関節症に負けない『心と身体』を目指して -運動指導士 彦坂惠子-

踊りが命と舞台と指導に明け暮れていた私が突然変形性股関節症と言われ、手術をし引退したが現在運動指導士として活躍中

100までウォーキング(矢野英雄先生4)

2010-05-10 16:37:28 | 保存療法

 昨日の9日(日)に、きららのお仲間3人で、(横浜にて)
第7回 公開市民講座 ~西横浜国際総合病院股関節外科センター
センター長(主に人工関節置き換え術と骨きり術)
 大久保俊彦先生の講座へ参加してきました。

 こちらの報告も随時、また 載せたいと思っています。


 矢野先生の講演会の最終項です。


          『100までウォーキング』
3.学習行動の変容の意味と意義一記憶ー
  学習には目的がありました。目的達成まで活動や行為を物差しで
評価し、学習の継続や中止が決定されます。評価の物差しに経験
記憶があります。時間経過の中で生じた経験が蓄積され、記憶されて
評価することができます。ひとの大脳中枢では新たな出来事や経験は
常に評価され、この活動によって記憶が形成され消去されています。

 記憶システムは研究途上の概念ですが、短期記憶や長期記憶は
脳活動の類例です。消去されないで長く残された生き物の記憶の
極みが遺伝子です。

 遺伝子には大別してDNAとRNAがあり、DNAに、短期記憶や
操作記憶などはDNAから複製されたRNAの役割とされます。
 最近ではRNAルネッサンスの研究が教えるところをアナロジー的
に解釈すると、後天的に機能が変化することができるRNAが学習
によってDNAの本体の活動や生物活動の表象が変容すると了解
されつつあります。

 他方、知能と脳の研究(皇帝の新しい心~コンピュータ・心・物理
法則ーロジャーペンローズ、林一訳 みすず書房 1989) によって
記憶は紋切り型の「あるか、ないか」 つまり、「0、か1」かのような
信号記憶として使われているのではなく、量子的概念で記憶された
情報の執行が行われると推測されています。

 RNAルネッサンスの研究と合わせて類推すると後天性素因と
先天性素因の学習の機能の関係が明らかとされています。

 つまり、先天的素因として遺伝的素因が発現するが、後天性に
獲得される経験が、ひとそれぞれによって生じた生理的環境によって
変わり、ヒトを変えることができます



4.先天性形質より後天性の運動学習
  生まれつきのものは成長とともに一定の姿を表します。加齢と
共に個人差が明瞭となります。加齢と共に生じる多くの障害像もこの
中にあります。しかし、先天性素因に原因を求めるある種の腸癌や
難病と違って股関節臼蓋形成不全症による股関節障害は後天性の
生活習慣が大きく関与していると考えられます。

 股関節臼蓋の骨格の相似性は親から受け継いだ先天性素因で
あっても股関節症を発生させ、症状が増悪するのはひとそれぞれの
後天性の生活習慣にその原因を求めるべきです。

 この考え方の先には、股関節症など骨・関節障害は来歴を訪ね、
生活習慣を改めることによって大幅に改善することが予測され、未然
の予防することが出来ます。

 さらに、この考えを拡張すれば、股関節症だけでなく重篤な腰痛症
は膝関節症など骨・関節障害はもとより、痛み障害に悩む人々や
運動機能低下の障害に悩む人々にも適切な運動生活の処方に
よって多くの障害の発生や症状進行を予防できます。

 適切な運動を行うためには運動と心身の関係性を明らかにする
記録が必要です。
 ここに万歩計による歩行記録を採ってこれに照合するように痛み
などの心身の感覚を記録し、そして判断する活動が大切となります。


5.傷みと痛みとこころの傷み
  股関節症が発生する股関節臼蓋形成不全には先天的素因が
多く関わっているとしても症状の増悪や慢性痛、こころの傷みの大半
は後天性の生活習慣や自分が作り上げた生活環境によって発生して
いると言えます。

 体の傷みは一定程度生活習慣の改善によって癒すことができます
が、傷めたこころを改善するためには長い治療時間が必要です。

 感情や官能など情緒の機能は古い大脳にある扁桃核や海馬系
の官能記憶に関わっております。傷みを知ることが体にとって大切で
ありますが、痛みはカオス的に展開して恐怖を誘発します。恐怖に
怯える状況を予防しなくては脳に疲労が蓄積して機能が低下し、感情
だけに従った誤った判断のもとにヒトは行動することとなります。
 
 このような判断過程は知的判断の過程とは違って扁桃核~海馬系
の極めて官能的で感情的な判断過程と言えましょう。
 痛みがが講じるとしばしばヒトは間違った判断する理由です。

 痛みを放置してはいけない理由がここにあります。
高齢化社会が進むほどに、障害から生じた慢性の痛みに悩む人々が
増加することが予測されますが痛みに降伏して、こころを傷めることが
ないように
人々はお互いに励ましあって、心身と痛みの消長について
意見交換し、長く体が使えるようお互いが工夫する生活運動を展開
することが大切
となりましょう。


【3】おわりに
  股関節症の慢性痛を管理されている人々が、参加されたこの
講演会において、多くの他の起立と歩行の障害に怯える人々に
勇気を送る為に『100までウォーキング』のスローガンを広く世に提案
するのはいかがでしょうか?

 私見を提案するしだいであります。





先生の(長年の蓄積した)患者への励ましのメッセージが沢山ありました。
 なかでも、私が心に残ったことは…

 「歩くために手術をするのに… その時は良いけれど…
 何年か後にまた手術をして、結局、歩けなくなくなってしまった、
 という沢山の事例や症例を診て来た…  だからこそ!」

 という先生の強くて暖かい信念に胸が熱くなった!

コメント (2)
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