変形性股関節症に負けない『心と身体』を目指して -運動指導士 彦坂惠子-

踊りが命と舞台と指導に明け暮れていた私が突然変形性股関節症と言われ、手術をし引退したが現在運動指導士として活躍中

あなたへ ―こだまする―

2012-03-11 16:29:02 | Weblog

 3.11、 ご冥福を心からお祈りします!

 政府主催の「追悼式典」をテレビで観ています。
 今これから、ご遺族代表のお言葉です。
 泣けます、泣きました、泣けました、涙が止まりません!!!!!

 14時46分、一分間の黙祷で、お線香と真言宗の御真言を唱えさせていただきました。
 野田総理と、天皇陛下のお言葉をじっとお聞きましまた。
 天皇陛下のお姿に心を打たれました。
 
 死者15854人 不明3155人 避難生活者344000人弱

 決して、忘れてはいけない! 忘れません!
 他人事としてはいけない! 
 しっかりしよう!! 強くなろう!!!


 今日は、私の愛読誌「高野山教報」から『あなたへ ―こだまする―』をご紹介します。


               『あなたへ ―こだまする―』
                                 木下璃香(洛南高校3年)
                               

        

 あなたには、沢山の人たちの為に、あなたの命の時間を使ってほしい。
 あなたには、“命”を生かす時間があるのよ。だから、私たちの分まで、あなたの命の時間を
 沢山の人たちの為に尽くして、きっと想像以上のすてきな時間が、あなたにおとずれる。

 彼女と初めて会ったのは、祖母の入院先の病院でした。
 彼女は、突然の予期せぬ難病に余命一年と宣告されていたのです。私は彼女が私と
 同年代であることから、なんとなくいろいろなことを話すようになっていました。
 
 そんなある日、静かな病室で
 「あなたの命を私にくれる?」
 私は彼女の言葉に驚き、何も答える事ができませんでした。そんな私の思いを察しながら、
 彼女は言葉を続けました。

 「そんなことできないでしょ?あなたが、どんなに私を気遣い、思ってくれても、涙を流して
 くれても、あなたは、私に命をあげるなんて言えない。」
 15歳の私は、あの日何も答える事ができなくて彼女の骨になってしまった手を握り締め
 泣いていました。
 余命一年の宣告を受けて一日一日を大切に生きている彼女が夏休みの私に投げかけた
 言葉は、今も私の心に重く響いています。

 当たり前の明日はないこと。
 生きると言うことは“命"を活用し行動すること。
 彼女は一人ひとりに与えられた尊い命とは何なのかと、私に問いかけてくれたのです。
 
 誰よりも命の尊さを知り、少しでも長い時間を生きようとした彼女は余命一年を二年半という
 時間にして、最期は
 「みんな大好きだよ。ありがとう。」と、桜の季節を待たずに、19年の時間に、ピリオドを
 打ちました。

 「あなたの命の時間を沢山の人たちの為に尽くして。」
 それが、17歳の私への最後のメッセージになりました。私は彼女の思いに応えたいと、
 中学生の時から始めている小さなお友達との「お話の会」に力をそそぎました。
 命や戦争、環境問題など子供たちが理解できるように一生懸命努めています。
 そして、あの日も子どもたちにお話しする絵本を探していました。

 三月十一日。私はテレビに映る映像に言葉を失い、胸の中にある感情が噴出するように
 涙があふれました。
 「何もかもなくなる……。」
 高台から見下ろす街並みは濁流の中に消えて…。
 立ち尽くす人々の声にならない声。涙さえも出ない悲しみ。

 テレビの映像は悲惨な叫びを遠慮することなく流し続けました。いまだにわからない家族の安否。
 全てのライフラインを閉ざされた、あの日。
 笑ってごまかしてきた私たち日本国首都、東京は混乱し、人々は忘れかけていた家族への思いに
 無事を願いました。
 あの日、私たちは心に何を思っていたのでしょうか。あれから6ヶ月「がんばろう、日本」と、
 国内外から沢山の思いが届きました。まだまだ、苦悩されている沢山の方々がいらっしゃいます。

 哀しみの向こうには、除々に復旧復興へと向う光が灯り始めています。私は子供たちと話し合い、
 鉛筆やノートを物資として市役所から現地へ届けていただきました。その帰り道です。
 子供たちが私に言いました。
 「これが本当に“がんばろう"になるの?、お友達の為になった? 節電と節水も今だけなら
 誰にでも出来るよ。」
 なんとなく、何かが私にも出来たと満足気でいた私は、子供たちの言葉に、ハッとしました。

 「沢山の人たちの為に尽くす。」彼女の言葉の意味が初めてわかったような気がしました。
 これで終わった。ひとつのことを成し得たなんて結果は、どこにもなかったのです。
 子供たちが私に問いかけたように、今回の鉛筆やノートも私たちの思いとして形にはなりましたが、
 それは、私たちの一方的な思いでしかないのです。

 尽くすとは、行動し続けること、相手が本当に心から笑顔になれるまで、思いを届け続けることこそ、
 「尽くす」と言えるのです。

 今、私は子供たちと次の準備を始めています。
 それは「こだまする」という子供たちの心のケアを考える会です。
 一方的な励ましではない頑張っている時には、「頑張ってるね。」と、こだまし合う喜び。
 震災後、金子みすずさんの詩が繰り返し繰り返し、テレビ画面から私たちに届けられました。

 人と人が、人と自然が、人と地球が、こだまし合う、そして、響きあう。
 相手のすべてをまるごと受け止める。今なら、私は彼女にちゃんと言えます。
 「辛いよね、痛いよね、哀しいよね、大丈夫、私の命をあげるよ。」
 あの日、私が彼女にこだますることができていたら…。

 今日は、あなたも、そっと「こだま」してみてください。
 あなたの家族に友達に、大切な人に、きっとみんな笑顔になって、
 「ありがとう」って言うでしょう。
 あなたも家族も、友達も、大切な人も、みんなが憂いに満ちて響き合えるはずです。

 こだまでしょうか。いいえ、誰でも。…



 買い物帰りの、自家用車の中で聴いていたラジオで言っていました。
    今日、あなたは「ありがとう」って言いましたか?
    今日、あなたは「ありがとう」って言われましたか?
 


 

 

 

 

 

 

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