毎日乗り降りしている駅ナカ書店の平積み台に、“こうしたら上手く生きられる”とか“こうしたらポジティブに”というタイトルの本が所狭しと並んでいる。ニーチェをはじめ哲学をわかりやすく書いた本も多い。どの本もテーマは、“上手に生きる”。
このたぐいの本は以前からあり、私もこれまで何冊も読んできた。それがいい本だったら、手元においておく。こういう本を読みたくなるのは、人間関係に悩んでいるときとか、仕事でつらいときとかいろいろあると思うが。そんな心が弱っているときにこういう本を読んで、世の中、人間の見方を変えて立ち直る。
そのままうまくいってくれればいうことはないが、もとの木阿弥となったときにはまた読む。そんなことを繰り返していると、いくらいい本といっても中身をすっかり覚えてしまい、魔法の言葉の神通力も失われる。そしてまた別の生き方の手引き書を探す。だからそんな本があとからあとから出版されていく。
そんな本を読んで解決できる悩みもあるにはあるが、たいていは対応不能。そういう時はあきらめてその場から立ち去るしかない。
それにしても、本屋の店頭をみると、いかに多くの人が、心に悩みを抱え込みながら生きているかがよくわかる。